脳の細胞は特殊な細胞から作られており“ニューロン”と呼ばれている。
脳は、ニューロンがつながった回路網の集合体と考えられる。
ニューロンの数は出生後、徐々に減少していくが、ニューロン全体からみると、わずか数%のみ。
ところが、中には数十%も減少してしまう病気もあるという。
それが、老人性記憶障害(認知症)、特にアルツハイマー病だ。
他にも、パーキンソン病、脳卒中などが大きく減少させるようだ。
事故や病気により脳が損傷すると、言葉や運動麻痺が起こることもある。
そのため、失われたニューロンを取り戻せないかという研究も進んでおり、人工的に増やせるところまできているという。
後は、失われた細胞をそのまま復活させることができれば、麻痺を避けられる日も遠くはない。
研究の進歩はあってもまだ先のこと。やはり私達は若い脳でいたいと願うだろう。そのために脳を活性化させてみてはどうだろうか。
体を動かす指令や感覚の認識によって脳は働く部分が異なる。脳の一部ばかりではなく、全体を使った方が脳は活性化されるので、いろいろな体験をすると良い。
人と話をして、新しい情報を得たり、利き手と反対の手で字を書くなど、普段、慣れていないことに挑戦するのも良い。
記憶の種類によっても脳は働く部分が異なる。記憶の種類とは、短時間での記憶、少し長い時間での記憶、長期記憶のこと。
長期記憶は、短時間での記憶が固定化された記憶だ。
そのため、記憶による活性化も、短時間での集中記憶練習から、過去の記憶を思い出す訓練まで、いろいろある。
また、老人性記憶障害で処方される薬は血流や代謝などを上昇させることで、脳を活性化させているという。
元気な体は脳のためにも良い、ということ。
全身の筋肉力をつけて代謝機能を促進し、足にある血液を体の上部まで押し上げる効果のあるウォーキングは脳の活性化にとって、理にかなった運動法。
毎日の習慣として、ぜひ、実行してもらいたい。
常に新しいことにチャレンジし、前向きな心を持てば、脳はいつでも活性化される。
元気な体で楽しい人生を過ごすために、脳も鍛えておくと良いだろう。
参考文献/考える細胞ニューロン(櫻井芳雄著 講談社発行)
トコトンやさしい脳の本 (田中冨久子著 日刊工業新聞社発行)
『歩行』と『脳』(吉田勧持著 エンタプライズ発行)
前回は、生活習慣や排便リズムについて、運動やヨガ等のデトックス効果をご紹介しました。今回はデトックスに有効な食材の選択にスポットをあててみます。食生活の改善で、夏までには体内の余分なものが燃えやすい健康的な体を作りましょう。
毒素の代表的なものは、有害金属類、農薬、添加物、化学物質などがあります。それらを効率良く排出するために、食材にスポットをあて、次の4つのポイントに注目してみましょう。
それぞれの働きを十分活かして、体内のデトックスを推進しましょう。
1.体内の有害物質を捕まえて、毒素を封じ込める食材
有害金属類、水銀、砒素、鉛、カドミウムなどが血液を通って全身に流れ込むと、さまざまな悪影響を及ぼします。
これらの有害毒素を捕まえる事を「キレート反応」と言います。「キレート」とは、「カニのはさみ」という意味で、有害物質をカニのはさみの様に捕まえ、体外へ排出する働きのことです。
例えば、酢や梅に含まれるクエン酸、ネギやニラに含まれる硫化アリル、ニンニクに含まれるアリイン、タマネギやブロッコリーやほうれん草に含まれるケルセチンなどがありますが、有害金属が酸素に触れる前に、キレート作用で包み込んでくれるのです。
最近では、特に玄米が注目されており、デトックスに最適な食材と言われています。
2.腸内の有害物質に吸着して、体外に排出する食材
血液中の有害物質は、肝臓を通過する時に、毒抜きが行われ、便へと排出されます。
便秘などで体内に長く便をとどめておくと、腸から毒素までもが吸収され、体中に広がってしまいます。食物繊維は、腸内の有害物質を吸着して捕まえ、スムーズに体外へ排出させます。
例えば、寒天、こんにゃく、ゴボウ、レンコンなどがあり、ダイオキシンの排出にも効果的です。
3.肝臓の解毒作用を高める食材
肝臓や腎臓は、たんぱく質を増やし、有害物質を閉じ込めて、無害化する働きをしてくれる、まさに肝心(肝腎)な臓器なのです。
牡蠣やレバーなど、亜鉛を多く含む食材は、肝臓や腎臓でたんぱく質を増やす働きがあるのです。
また、イワシやマグロなどの魚介類、海藻類、玄米などに含まれるセレンは、ビタミンEと一緒に摂ると、酸化防止作用が強まり、水銀の毒素を抑える働きも強くなります。
亜鉛やセレンを含む緑黄色野菜と組み合わせると毒素排出にさらに効果的です。セレニウムを含むラッキョウもその効果があるようです。
健康の曲がり角は30代。無理をしてもがんばることができた20代とは違い、自分の身体状況を把握し、意識的に体力をつけていくことが大切。メタボリックシンドロームを防ぐためにも、健康管理をしていきましょう。
運動習慣が身に付いている人とそうでない人を比べると、身に付いている人の方が、免疫機能が高まって病気になりにくく、老化の進行も抑えられるという報告があります。
10代、20代は学生生活の中やレクリエーションとして体を動かす機会が多くあります。また、基礎代謝も高く、体力が高められる時期でもあります。しかし、30代以降で、体力が低下していくことを感じている人は多くいるのではないでしょうか。例えば、脚の筋力が低下し、転倒しやすくなるとします。
適度な運動をしていなかったために年をとってから骨粗鬆症になり、転倒して骨折、寝たきりになってしまった、という人生も考えられます。また、体は動かさないのに、若い頃と同じような食事をしているために肥満になることも考えられます。高血圧症や高脂血症など、いろいろな合併症も重なって、つらい思いをしなければならないことも出てくるでしょう。
人間の体は20代をピークに、徐々に衰えていきます。健康で楽しい人生を送るために、自分に合った体力づくりを実践することが大切なのです。
30歳の時の筋力を100とした時、
加齢と共にどのくらい筋力が低下するのか
“老化は脚から”と言われるように、実際、脚の筋力が大きく低下する。
(財団法人 健康・体力づくり事業財団より)
新生活を迎えると、なかなか運動する時間をとることができない人が増えてきます。特に新社会人になると仕事に追われて自分の時間さえも持てなくなる人もいるでしょう。
そこで、体力づくりを無理なく生活の中に取り入れることを考えましょう。運動習慣が身に付けば、見た目に美しくなるだけでなく、メタボリックシンドロームの予防・改善にもつながり、健康になります。
中年以降は基礎代謝が衰えてくることから、今までと同じカロリー摂取でも、太りやすくなります。体力がつくと筋力がつき、基礎代謝も高めてくれるので、食べても、運動習慣でカロリーを消費させることができます。
しかし、運動をすればカロリーが消費できるからと、食事の内容をおろそかにするのはナンセンス。やはり、脂肪分の少ない、栄養バランスのとれた豊かな食事を摂ることが基本になります。
4月から特定健診・特定保健指導が開始されました。これは、いわゆるメタボリックシンドロームの防止・改善の検診が含まれたということ。国全体が国民の肥満を防ごうと、動き出した証です。
実際、日本人の肥満率は高まっています。特に、35歳から44歳までの若年層の、心臓病、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が関わる死亡者が多くなっているそうです。
メタボリックシンドロームは自覚症状が出にくい病気。いくつかの危険因子が重なり合って、知らず知らずのうちに悪化していきます。若い頃には元気で暮らしていても、突然、病気に襲われて、手遅れになってしまうことがあるのです。
健康管理の開始に遅すぎることはありません。初めは無理をせず、できることから行動してみましょう。近くまでは車を使わずに歩いていく。本を読みながら脚上げ筋力トレーニングをする。おかずの揚げ物を煮物にする。身近な生活での工夫が、将来の人生を左右するのです。
健康のポイントは |
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食事と運動のバランス 継続させることが大切です! |
古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。
地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、異文化の魅力にあふれた国、イスラエルをご紹介します。
ユダヤ教には、聖書に記された3大巡礼祭として、季節の変わり目に祭りが行われます。春を告げるペサハ(過ぎ越しの祭り)、夏のシャブオット(七週祭)、そして秋のスコット(仮庵の祭り)。
放浪生活から農耕民に、神の恵みへの感謝に由来すると共に、ユダヤ人の祭りは必ず民族の歴史と結び付けられて祝われます。
シャブオットにキブツで採れた自然の恵み
『ペサハ』は、ユダヤの歴史に根ざした最も古い伝統を誇り、旧約聖書のモーゼによるエジプト脱出を記念した行事として、イスラエル民族の贖い(救い)を記憶し、神に感謝するための祭りです。時期的に春の祭りで、農耕と牧畜を起源とする祭りと歴史が一緒になったものです。
ニサン月(西暦の3〜4月)に1週間続き、この間、イスラエル国内から(アラブの町は除く)パンやケーキが姿を消します。エジプト脱出の際、パンを発酵させる時間が無く、膨らんでいないパンを食べていた事に因み、「マツァ」という大きなクラッカーのような種無し(酵母抜き)パンを食べます。
ペサハの最初の夕食に各家庭では、セデル(ヘブライ語で「順序」の意)と呼ばれる儀式が執り行われます。そして伝統的な形式に則り、ハガダーという式次第のような書物に沿って、間に歌などを挟みながら、準備された6つの食品を頂いていきます。マロール(苦菜・西洋わさびのようなもの)、カルパス(野菜)、ハゼレット(もっと苦い菜)、ハロセット(くるみとりんごの微塵切りを混ぜたもの)、ゼロア(子羊の前脚のロースト)、ベイツァ(卵)。
それぞれがユダヤの民の苦難や導きなどのシンボルであり、ハガダーを全て読む家庭、飛ばしながら形だけ読む家庭など色々ですが、儀式の後には、ごちそうが待っています。
ペサハから7週間後の収穫祭『シャブオット』。口伝律法では、シナイ山でモーゼにトーラーが授けられた記念日とされています。また、この時期、最初にできた果実を収穫し、神殿に捧げた事を記念する農業祭の一面もあります。
そして、ユダヤ人が民族の誇りを新たにする祭りが、ユダヤの新年(ローシュ・ハシュナー)の2週間後から始まる『スコット』です。 紀元前13世紀頃、ユダヤの民がエジプトを脱出し、その後40年間にも及ぶ放浪時代に、荒野の仮庵に住んだ苦闘の日々を偲ぶものです。各家庭では、庭やベランダに放浪時代に住んだ仮小屋を模した「スカー」と呼ばれる仮住まいをナツメヤシの木で建て、ヤシの葉、シトロン、ギンバイカの小枝、柳の葉などを飾って、祭りの祈りに彩りを加えます。また、この間、その中で食事をしたり、寝て過ごす人もいるそうです。
祭りの日、街は各々の祈りの心に満たされます。
スコットのエルサレム・嘆きの壁の様子