風邪の主な感染源はウイルス。冬に流行する風邪は、低温・低湿を好むウイルスで、インフルエンザウイルスも冬の環境を好む。
ただし、風邪とインフルエンザは全く違う症状が現れる。あまり高熱にはならない風邪に対してインフルエンザは38〜39度の熱が出るのが特徴。 風邪はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の腫れに加えて頭痛や全身の倦怠感なども起こるが、比較的、 インフルエンザより症状が軽い。
しかし、油断は大敵。
「風邪は万病のもと」と言われるように、免疫力が低下した体に新たな細菌やウイルスが入り、肺炎や気管支炎などの二次感染を起こすこともあるのだ。他にも合併症として、中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎、腎炎、リウマチ熱などがある。
特に、抵抗力の低い乳幼児、高齢者は風邪と似た症状の重篤な病気であることも考えられるため、気をつけなければならない。
また、糖尿病、心臓病、慢性の呼吸器疾患がある人も風邪をきっかけに慢性病の症状が悪化することもあるので、十分気をつけたい。
風邪のウイルスは咳などによる飛沫感染と手から手へと感染する接触感染がある。そのため、外出先から帰宅したら、うがいと手洗いを徹底することが予防になる。
寝不足や栄養不足などで体の抵抗力が弱くなっていると、ウイルスが体内に侵入しやすくなるため、普段から規則正しい生活を送ることも大切。
また、かかってしまったときは、他の人への感染を防ぐために、マスクをするエチケットを。体の防御機能を高めるために、十分な休養と栄養を摂るようにする。ウイルスの二次感染を防ぐために、部屋は温かくし、乾燥させないようにすることも、予防として心がけたい。
一般的に、さまざまな症状に有効な成分が配合されている市販の風邪薬に対し、病院で出される薬には患者それぞれの症状に応じた薬が処方される。症状に応じた市販薬もあるので、薬を使う場合、自分の状況や使いやすさで選択することができる。
これから暖かい季節を迎えると言えども、季節の変わり目は心身のバランスが乱れやすい時期なので、油断せずに、十分な栄養と休息で健康を保っておきたい。
原始地球の時代から悠久の時を超え生命を育み続けてきた微細藻類の細胞の中には、人類の健康にとって有用な様々な成分が含まれています。今回は「アミノ酸」を取り上げます。
よく耳にする「アミノ酸」とは一体どんな成分なのでしょうか。栄養成分には、脂質、糖質、たんぱく質、ビタミンなどの分類がありますが、アミノ酸とは、この中でも、たんぱく質と深い関わりをもっているのです。
私達が普段食べている米飯は炭水化物の仲間です。これは胃で消化される時に、デンプンからブドウ糖に変化します。ブドウ糖はエネルギーとなり、私達の体のさまざまな活動を支えます。
同じように、たんぱく質が胃で消化されるとアミノ酸に変わるのです。アミノ酸は、体の中で糖質や脂質を「燃やす」働きに深く関わっているのです。また、体を作っている筋肉、血液、皮膚、髪の毛、内臓まで、全ての組織の構成成分であり、体を作る、動かすために大切な栄養成分なのです。
昔から「高たんぱく」、「低カロリー」が健康に良いと言われますが、現代人の食生活を見直す事も大切な課題なのではないでしょうか。
アミノ酸の種類と働き | ||
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種類 | 働き | |
必 須 ア ミ ノ 酸 |
バリンロイシン イソロイシン |
この3種類を総称して分岐銷アミノ酸と呼び、筋肉や肝臓で働き、たんぱく質を増やす。疲労回復にも働きかける。 |
スレオニン | 胃を保護し、筋肉をほぐす。また、酵素の働きを助ける。 | |
トリプファン | 鎮痛、睡眠導入、神経伝達(脳機能)、鎮静を助ける。 | |
ヒスチジン | 集中力、記憶力を高め、脂肪の分解促進、交感神経を刺激する。 | |
フェニルアラニン | 神経伝達物質ノルアドレナリンやドーパミンを作り、抗うつを助ける。 | |
メチオニン | 体内でタウリンを作り、コレステロール低下や、カルニチンを作り脂肪を燃やす。 | |
リジン | 体内でカルニチンを作り、脂肪を燃やす。穀類に少ないため家畜飼料にする。 | |
アスパラギン | 主にエネルギー生産を行うTCA回路を助ける。 | |
アスパラギン酸 | エネルギー代謝のバランスや疲労回復。脳の神経伝達物質。 | |
アルギニン | 成長ホルモン分泌。筋肉を作り、血流を改善し、免疫力をつける。 | |
アラニン | 脂肪燃焼、糖合成。肝機能を助ける。 | |
グリシン | 関節炎などの抑制、肝臓でのアルコール分解を助け、肌を整える。 | |
グルタミン | 筋肉を作り、免疫細胞のエネルギーとなる。胃腸を保護する。 | |
グルタミン酸 | 脳の神経伝達物質の一つで、GABAの原料になる。速効性のエネルギー。 | |
システイン | メラニンの生成を抑え、爪や髪の毛のケラチンに多く含まれる。 | |
セリン | 肌の保湿に優れ、脳機能にも重要とされる。 | |
チロシン | 神経伝達物質のアドレナリンや皮膚のメラニンを作る。ストレスを抑える。 | |
プロリン | 肌のコラーゲン生成の原料でエネルギーとしても利用される。 |
生活習慣病とは、偏った食生活、運動不足、過剰な飲酒などの生活習慣により引き起こされますが、その他にも、遺伝やストレスなどが影響している事も多いのです。 主に「肥満」「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」ですが、これらはそれぞれが重なり合って引き起こる事がとても多いのです。 それらの原因として最も大きいのが内臓脂肪の蓄積です。
脂肪細胞は、脂肪をエネルギーとして蓄えるだけでなく、ホルモンを分泌する働きも持っています。 肥満の状態では、このホルモンのバランスも崩れますので、体のあちこちで、機能低下が現れてくるのです。 血液中の脂質が増え過ぎると、高脂血状態になります。 中性脂肪、リン脂質、コレステロールや遊離脂肪酸などが増えるのですが、特に自覚症状は出ません。
脂質は油分ですから、血液中をうまく流れる事ができません。 そこで、たんぱく質やリン脂質とくっつき、リポたんぱく質として、血液中を流れるのです。このリポたんぱく質にはLDLとHDLの2種類があります。体内のアミノ酸バランスが悪いと、LDLコレステロールは血管などへ付着してしまうため、動脈が硬くなってしまいます。
血中コレステロールが多いと、血栓などもできやすくなってしまいますが、アミノ酸バランスを良くする事で、血液をサラサラにする事にもつながります。 血管が硬くなると、血圧を上げてしまう事につながります。 血圧が上がると、血管はそれに耐えようとするため、血管の壁を厚くしたり、心臓の壁を厚くしたりしてしまいます。 すると、更に血圧が上がってしまいます。 血圧が上がる原因には、腎臓病やホルモンバランスの異常などが原因となる場合と、食生活で摂取した過剰な塩分により上がってしまう場合があり、日本では後者が多いようです。 これを本能性高血圧と呼びますが、肥満やストレスなども大きく関係します。
この高血圧も動物実験では、アミノ酸をうまく摂り入れる事で、数値が低下するという報告があります。また、GABA(γ―アミノ酪酸)を取り入れた食事により、人の血圧を低下させた報告もあります。 GABAはアミノ酸の仲間で、発芽玄米などに豊富に含まれ、脳の働きやストレスに対しても大切なアミノ酸となります。
インスリンの分泌が低かったり、働きが悪かったりする事で、血糖が上昇してしまいます。インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖分を細胞に送り、処理させる働きと、過剰な糖分を中性脂肪に変え、細胞に蓄えさせる働きがあります。 アミノ酸によって、インスリンや成長ホルモンの分泌が整えられる事も、一般にはよく知られています。
体を作り、エネルギー代謝にも大きな役割をするアミノ酸ですが、肉類ばかりに偏ったたんぱく質の摂取をするよりも、海藻や野菜や魚類、穀類など、さまざまな種類のアミノ酸を含む食品を摂取する事が、体内のアミノ酸バランスを整えます。微細藻類にも、たんぱく質、アミノ酸が豊富な種が多く存在します。
アミノ酸は、自然界に500種類以上存在していますが、人の体を構成しているたんぱく質は、わずか20種類からのみ成り立っているのです。つまり、アミノ酸同士が組み合わさることで、たんぱく質ができるのです。それは、数百から数千の組み合わせにより、なんと、10万種類にも及びます。
アミノ酸は、体内で作り出せるものが11種類と、食品として摂り入れなければならないものが9種類あり、この9種類を必須アミノ酸と呼びます。これらの摂取バランスを良くする事が、健康のため、生活習慣病予防のためにも大切になってきます。
団塊の世代が次々と定年退職を迎え、第二の人生を送る人が増えています。
老後にどんなことをしようか計画を立てている人もいるのではないでしょうか。
ただし、まずは体が健康でなければ何もできません。
元気に生活していくためのヒントをご紹介します。
歳を追うごとに体の機能が徐々に衰えてくることはどうしても避けられません。 それに伴い、さまざまな病気にかかる可能性が高くなります。
まず、生活習慣病が発症しやすくなります。動脈硬化、高血圧、高脂血症、糖尿病、高尿酸血症をはじめ、女性には骨粗鬆症が多くみられるようになります。
動脈硬化はゆくゆく心筋梗塞や狭心症、脳梗塞を発症する危険性があります。 これらは高齢者の死因のトップを占める病気。無事、死をまぬがれたとしても、介護が必要な状態になることも多いのです。
また、骨粗鬆症の場合も転倒による骨折などをきっかけに、寝たきりになってしまうことも考えられます。
まず、生活習慣病を引き起こすような生活をしていないか見直すことが大切。 カロリーや脂質を摂り過ぎた食事をしていないだろうか。 1日3食、決まった時間に食べているだろうか。毎日、体を動かしているだろうか。
今年4月からはメタボリックシンドロームに着目した健康診断、保健指導の実施が義務づけられます。健診の結果に応じて保健指導を受けましょう。
国や自治体では、高齢者の心身の特性に合わせた医療サービスや介護サービスを提供し、生活の質(QOL)を向上させようと動いています。細かな部分も含め、今年度は制度の改革が大幅に行われる年。何がどのように変わるのか、内容を確認しておきましょう。
最大の変更点の一つに、今年4月から、現行の老人保健制度を見直した新しい高齢者医療制度が始まります。
高額の医療費が心配される高齢者の健康ですが、より充実したサービスを提供すると共に、高齢者の医療費を安定させるために、現役世代と高齢者の負担能力に応じて医療費を公平に負担するようになります。
主な変更点は、老人保健制度が廃止され、65歳から74歳までの人が適用される「前期高齢者制度」と75歳以上の人が適用される「後期高齢者制度」(ただし、寝たきりなど障害状態によっては65歳以上)の2つの制度から成り立つようになることです。
特に後期高齢者制度は国民健康保険でもない、被用者保険でもない、独立した機関として新設されます。
「後期高齢者医療制度」が設立されます |
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○平成20年4月から開始。
○被保険者は75歳以上の人、及び65歳以上の一定以上の障害がある人。 ※後期高齢者医療制度加入後は、国民健康保険、被用者保険の被保険者ではなくなります。 ○老人保健医療受給者証と健康保険証は使えなくなり、新しく交付される被保険者証を使う。 ○老人保健制度と同様の医療給付が受けられる。 (医療費負担1割、現役並み所得者は3割) ○申請受付などの窓口業務と保険料の徴収事務は市町村が行う。 ○被保険者の資格管理、保険料の賦課、給付、税制運営などの事務は後期高齢者医療広域連合が行う。 「後期高齢者医療制度」が設立されます。 |
現在、40歳以上の人が保険料を支払っている介護保険。実際に介護サービスを受けられる権利を持つことができるのは65歳以上の人です。
サービスを受けるためには、市区町村から要介護認定を受け、さらに、介護サービスが必要と認められた人は細かくランクが分けられます。 このランクによってサービスを受けられる内容が決まってきます。
サービスの内容は大きく、在宅サービスと施設サービスに分けられます。
介護保険は、介護を必要とする人が自立して生活できるよう、必要な福祉サービス、医療サービスを受けられる制度。
利用者は、利用したサービスにかかった費用の1割を自己負担します。
在宅サービスでは、できる限り住み慣れた家庭や地域で生活を送ることができるよう、訪問介護や、訪問入浴、訪問看護など、サービスの内容が充実しています。
一人暮らしや、配偶者も老齢などで介護が難しい場合は、介護のランクによって施設サービスを選ぶこともできます。
しかし、2000年に制度が開始されてからいくつか問題点も残されています。 できれば介護を必要としない、健康な体で暮らしていきたいものです。
好奇心を持って心を健康に体が健康でいれば、おのずと心も健康になっていきます。 反対に、生きがいをもって生活を送れば体も健康になっていくもの。 心身共に健康であることが、真の健康であると言えます。
家にこもってしまうよりも、ボランティア、趣味、事業を起こすなど、外へ出て生きがいを見つけてみましょう。 きっと楽しい、意義のあるセカンドライフを送ることができるでしょう。
参考資料/医療制度改革関連資料(厚生労働省)、介護保険制度の概要(厚生労働省)、定年学(講談社編)
古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。
地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、異文化の魅力にあふれた国、イスラエルをご紹介します。
旧約聖書の創世記に基づく聖なる日、 「シャバット」は毎週金曜日の日没に始まり、各家庭では、ろうそくの点火をもって到来が告げられます。 一般的には2本のろうそくが点され、 「ろうそくを点す」のは主婦の役目とされています。 ユダヤ人は、この聖なる日を「花嫁(カラー)」と呼び、ご馳走を食べながら、一家団欒を楽しみます。
シナゴーグ(ユダヤ教徒の礼拝堂)から帰宅した父親は、まず子供たちを祝福し、そして家族一同が揃ったところで、家庭でシャバットの夕べを迎える儀式となります。 白いテーブルクロスで被った食卓に着き、「シャローム・アレイヘム(天使の歌)」を歌い、『喜びの象徴』とされる葡萄酒を大きなグラスに溢れるぐらい注ぎ、「キドゥーシュ」という聖別の祈りを唱えます。 次に儀式として手を洗い、「ハラ」と呼ばれる楕円形のパンに祝祷し、塩を振り掛けてからパンを切り分け(父親の役目)、盆に載せて各自の前に置きます。 そして「神の恵み」として、一人一人が大地から拾うようにしてパンを頂き、いよいよ食事が始まります。
トーラーの巻物を運ぶ少年
ユダヤ教では、平日にも3回の祈りを捧げます。朝の祈りをシャハリート、午後をミンハー、夕べをマアリブと呼びます。 シャバットの朝は、食事の前にシャハリートの祈りをシナゴーグに行って捧げます。 説教やスピーチはなく、天地創造の神への賛歌が力強く捧げられ、トーラー(モーゼ五書)を授かった感謝と朗読という最高潮に向かって、祈りと賛美が延々と続きます。 そして山場を迎え、前後に丁重な祝祷を数々伴いながら、トーラーの巻物を祭壇の櫃から取り出し、会堂を一巡(トーラーが近づくと人々は、そっと触れ、その手に口づけをします)、そして、その週に読む部分が朗読されます。
シャバットの終わりが近づき、新たな週を迎えるためマアリブの後、『ハブダラ(分離)』という儀式を行います。 周囲の明かりを消し、闇の中にろうそくの光を掲げ、葡萄酒をなみなみに注いだグラスを持った主人役が祈りを捧げます。 次いで「豊かな恵み」の象徴である香料の入った箱を回して、みんなで香りをかぎます。続いて、光について神に感謝を捧げ、飲み残したグラスの底の葡萄酒で、ろうそくの火を消し、部屋の明かりを点け・・・新しい週の始まりです。
祝い方や過ごし方が宗派によって全く違う シャバット。 しかし、波乱に富んだユダヤの歴史において現在に至るまで、伝統として守られ続けたことは驚異に値します。 また少なくとも週に一度、一緒に食卓を囲む家族の団欒、精神・肉体的にも、次の週に備えるという習慣は、現代社会にも通じる、理にかなった伝統であると言えます。
エルサレムの台所と呼ばれるマハネ・イェフダ市場。
シャバットには15時頃に閉店し閑散となる