服が着られない、生活用品が使えない、学校・職場に通えないなどの苦しみを抱える化学物質過敏症。
様々な種類の微量化学物質に反応する深刻な病気のため、誰もが知識を持ってほしい。
環境病の中で、良く知られている花粉症。戦後、急激に増えた病気の一つで、杉の多い山村部より都会に患者が多い理由は、車の排気ガスなどによって、空気が汚染されているためとされている。ディーゼルは排気粒子がIgE抗体(アレルギー反応に関係する物質)を増やすと考えられているからだ。
化学物質過敏症も環境病のひとつ。シックハウスや農薬・殺虫剤、有機溶剤などで反応する。
具体的には、建物などに使われる建材や塗料から放散されるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)、室内や屋外で使われる有機リン系農薬(殺虫剤)などがある。
特に有人・無人ヘリコプターなどで行われる農薬散布は、周辺の住宅地などにも被害を与えていると問題になっている。
これらのような化学物質を大量に曝露したり、微量だが、繰り返し曝露すると、化学物質過敏症は発症する。個人差が大きいため、同じ環境下でも、発症しない人もいる。また、花粉症を突然、発症する人がいるように、化学物質過敏症も突然、発症することがある。
学校環境が原因で、子供や教職員が化学物質過敏症を発症したり、すでに発症している化学物質過敏症やアトピー性皮膚炎、アレルギーが悪化するケースを「シックスクール」と言う。 集中力や思考力が欠けて、落ち着きがなくなるなど、多動症や学習障害の原因になることもある。 学校側が協力して、安全なワックスを使ったり、換気を行ったりするなど、安心できる教育現場にする見直しも必要になる。 |
化学物質過敏症にまだ、関心が集まらないためか「更年期障害」や「精神疾患」などと、なかなか正しく診断されないのが現状。おそらく、子供も含めれば、全国で推定百万人の患者がいるとされている。
目のかすみ、鼻水・鼻づまり、耳鳴り、口の中の乾き、下痢や便秘、排尿障害、呼吸障害、湿疹、頭痛など、患者によって症状は様々で、多岐にわたるが、このような症状が出ても、患者が周囲に理解してもらえないのも現状。建材、服や生活用品にまで化学物質が使われている今、昼間、起きている間中、化学物質に苦しんでいる患者も少なくない。
国もシックハウス症候群の予防など対策を始めた。 患者が安心して身を置くことができるよう、私たちもできることから対策・予防をしなければならないだろう。
*芳香剤、殺虫剤などで空気を汚さない。 |
*食品の購入には安全性も考慮する。 |
*合成洗剤ではなく、石鹸を使う。 |
*住宅の新築、改築などをする時は、化学物質の少ない建材などを使用する。 |
*家庭の他、職場、学校・幼稚園などでも同様に行う。 |
*適度な運動で汗をかく。 |
糖尿病治療の歴史の上で、その第一期は、手の施しようがなく、目に見える症状から診断をつけ、効果のあがらない対症療法をしていた時代である。
第二期は、インスリンの発見により、ほとんど死を待つだけの患者を生存させる手段を手に入れた時代である。
そして現代は第三期の予防の時代、つまり今まで死の病として恐れられていた糖尿病を、未然に予防しようという時代に入ったのである。
糖尿病とはどのような病態であるのか、現代的な見直しが必要になってきている。つまり、単に血糖値が高めの状態から、糖尿病を予防する対策が必要だということが明らかになってきたのである。
血糖とはブドウ糖のことであるが、食事によってブドウ糖が吸収されるたびに血液中の糖分の値は変わる。正常であれば、食後に血糖値が上がり始めると膵臓からインスリンが分泌され、血糖値は最高でも180mg程度に抑えられ、食後2時間も経つと、元の値に戻るのである。
しかし糖尿病になると、空腹時でも血糖値が200mgから300mgに上がることがある。そんなに高い血糖値が続くと、生体の重要な構成成分であるたんぱく質にブドウ糖が結合し、糖化たんぱく質となる。これができると、たんぱく質の機能を失うだけでなく、血管壁を傷めたり、細い血管を詰まらせたりする。これが糖尿病の合併症である。
糖尿病の進行は血管病変に基づく事が多く、網膜症による失明や腎不全になるリスクを高めるのである。合併症を伴うような「重症の2型糖尿病」になると、本人の苦痛や家族の負担もさることながら、国としても30兆円にものぼる莫大な医療費負担が問題になってきている。検査で高血糖を指摘された人は、とにかく、自分自身の健康や生活のクオリティを守るためにも、重症の糖尿病になるのを予防することが大切である。
糖尿病はインスリンが足りなくなって、細胞内にうまくブドウ糖が取り込まれなくなったために起こる病気である。余ったブドウ糖は肝臓で脂肪として蓄えられたり、腎臓から尿として排泄されるようになり、糖尿をきたすのである。
また、インスリンが足りなくなり、ブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなると、次に脂肪やたんぱく質をエネルギーのための燃料として燃やすようになる。そしてついには、自分自身の筋肉崩壊をきたしたり、食べても食べても痩せるようになる。
血糖値を保つ仕組みはいくつもあるが、飲食による糖の摂り過ぎに対応する手段は、インスリンしかないのである。健康な人は血糖値が上がり始めるとすぐにインスリンが出て、血糖値が下がり始めるとインスリンの分泌も元に戻るのである。ところが、高血糖の人はインスリンの分泌が遅れ、いつまでも高い状態が続くのである。
高い血糖状態にあると、たんぱく質にブドウ糖が結合してしまうが、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖の結合したものの割合を%で表わしたのが ヘモグロビンA1cで、一般に4.3%から5.8%が正常範囲とされている。
普通、血糖値は、血液中のブドウ糖の濃度を測るが、それだと食後2時間値とか、空腹時血糖値とか、その時点での血糖値を知るのには好都合であるが、100〜200mgとか、あるいは、300mg以上と変化が大きいので、長期間の平均的血糖値を知る指標には使えないのである。
2〜3ヶ月の血糖値を反映しているのが、ヘモグロビンA1cの値である。つまり、空腹時とか満腹時とか睡眠時とか、それらの血糖値を平均してだいたい3ヶ月間平均はどれくらいかという値である。 そしてこの値は、糖尿病の合併症になるリスクと関連しているのである。合併症のリスクは、9%から急に高まること。平常は6%以下であること。 6%台でも合併症のリスクはほとんどないのである。
ヘモグロビンA1C値と大血管合併症または網膜症リスクとの関係
※基準はヘモグロビンA1Cが6.5%以下「JDCS年次中間報告」より
運動は、やはり血糖値コントロールの重要な鍵である。軽めの運動でも十分な血糖値コントロール効果がある。 よく体を動かすとお腹が空くのは、誰でも経験することであるが、その逆にお腹いっぱい食べた後、運動をしないと、過剰に摂取したブドウ糖は脂肪として蓄積される。 そのため肥満になったり、肝臓に脂肪が蓄積して脂肪肝になるのである。
しかし、肝臓に脂肪としての蓄積にも限界があるので、腸間膜や腹腔内にも脂肪がたまり、高すぎるブドウ糖は尿に出るようになる。さらに、使われないブドウ糖がいつまでも血液中に流れる高血糖の状態が続くと、糖化たんぱく質が増え、本格的な糖尿病へと移行するのである。
本当に動物はかわいいもの。
とりわけ、我が家のペットにはやすらぎを感じることも多いでしょう。
これからもずっと一緒に暮らせるよう、動物からも病気が感染することを知った上で、ふれあいましょう。
最も身近な動物になっている家庭で飼われるペット。数十年前まではしっかり“人”と区別してペットは飼われていました。 しかし、現在、もはやペットは家族同然。寝食を共にしたり、ペットを中心に行動したり、すっかり“人”として扱われるようになりました。
アニマルセラピーと呼ばれるように、動物たちは様々な良い影響を私達に与えてくれます。痛みを緩和したり、気分を和らげたり、時には病気に対する治療効果をもたらしてくれます
ペットを通じて人と人のコミュニケーションが生まれ、ペットと一緒にいることで、私達に楽しみをもたらし、必要とされている責任感や孤独感の解消など、精神的作用を与えてくれます。また、ペットがいることで日常の運動が増えるなど健康への影響も及ぼしてくれます。
だからこそ、人と動物が一緒に暮らせるよう、共通感染症があることを知り、予防と対策について考えることが必要になっています。
病原菌が動物から人間に感染するルートには大きく、直接伝播と間接伝播があります。
直接伝播とは、噛み傷やひっかき傷、口の周りなどをなめられて感染する場合。動物を触った手を直接、自分の口に持っていき、感染するルートもあります。
間接伝播には、病原体に汚染された水や土を触って感染する場合、感染動物からノミやダニ、蚊などを介する場合、病原体を持っている家畜や魚介類を熱せずに食べて感染する場合の3種類があります。
動物由来感染症の原因となる病原体は様々あります。日本脳炎やインフルエンザ、サルモネラ症など、聞き覚えのある感染症もあります。
ペットだけでなく、野生動物、学校で飼われている動物などから感染することもあるので、注意しましょう。
病原体の種類と動物由来感染症
ウイルス | 狂犬病、日本脳炎、インフルエンザなど |
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リケッチア クラミジア |
Q熱、紅斑熱、オウム病など |
細 菌 | ペスト、サルモネラ症、レプトスピラ症など |
真 菌 | 皮膚糸条菌症、クリプトコックス症など |
原 虫 | バベシア症、トキソプラズマ症、アメーバ症など |
寄生虫 | イヌ・ネコ回虫症、エキノコックス症、吸虫症 |
※厚生労働省ホームページ「動物由来感染症を知っていますか?」より
動物由来感染症は、口移しで食事を与えたりするなど、濃密なスキンシップで感染しやすくなります。「過剰にふれあわないように」と言われますが、残念に思ったり、怖がったりしなくても大丈夫です。
なでてあげること、軽いスキンシップは問題ないからです。ただ、外から帰ったときに手を洗うように、動物とのスキンシップの後も手を洗うようにしましょう。
もし、飼い主の体調が悪くなったら早めに医療機関を受診しましょう。
ペットも人と同じように、かかりつけ医を持ち、健康診断を受けると安心です。飼い方や病気の予防を相談することもおすすめです。
動物といつまでも仲良くいられるために “動物由来感染症”を予防しよう |
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*イヌの予防注射と登録 狂犬病予防のために、予防注射が義務づけられています。 |
*過剰なふれあいを控える 口移しで食事を与えたり、スプーンの共有などは避けましょう。 |
*動物に触ったら必ず、手洗い 大丈夫と思っていても、知らない間にだ液や粘液、傷口などに触ってしまうこともあるので、手洗いをしましょう。 |
*身の回りは清潔に ペットが使う小物は清潔に。糞尿はすみやかに処理しましょう。 |
*ペットを室内で飼うときは換気を心がける |
*砂場や公園では動物の排泄に注意!! 子ども達が遊んだ後は必ず手洗いをさせましょう。 |
*野生動物の飼育はしない |
*ペットも定期検診を 動物に感染していても無症状の感染症があるため、知らないうちに人へ感染していることがあります。 ペットの病気を早期発見する意味でも、定期検診を受けましょう。 |
古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。
地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、 異文化の魅力にあふれた国、イスラエルをご紹介します。
イエス・キリストにゆかりあるガリラヤ地方、各時代の遺構が残る地中海沿岸の町アッコやカイザリア。三大宗教の聖地エルサレム、そしてユダヤ教の基礎となるモーゼが神から十戒を授かったシナイ山など、訪れることで旧約聖書と新約聖書の世界に触れることが出来るイスラエル。
その中に、歴史的な大発見の地として有名な『クムラン』があります。死海北西端の沿岸から約1qにある遺跡で、「死海写本(死海文書)」が発見された場所です。
死海写本(イザヤ書)
第2次世界大戦直後の1947年、ベドウィンの少年が飼っていた山羊が迷い、見つからなくなったことから、少年が死海沿いの断崖を登っていた時のことでした。彼は崖の洞穴に山羊が隠れているのではないかと、小石を投げ込んでみると、何かに当たった様な音がしたので、洞穴を覗き込んでみました。すると、そこには羊皮紙に書かれた何本もの巻物の古文書が、細長い壷に収められていました。この時に発見されたのは「イザヤ書写本」 「ハバクク書注解」「共同体の規則」など合計7つの巻物であったと言われています。
その後、1949年から約10年間に11の洞穴が発見され、全部で数万点に及ぶ筆写本の断片が見つかりました。このようにユダ砂漠一帯の各地で発見された写本を総じて「死海写本」と呼びます。
死海写本は内容的にみると、キリスト教会が聖書として受け継いできた旧約聖書本文の写本の聖書関連文書と、クムラン共同体関連文書、及びその他に大別されます。これらは現在、エルサレムのイスラエル博物館に保存されています。
これら古代写本の所有者と考えられたのは「クムラン共同体(教団)・エッセネ派」です。彼らはイエス時代のユダヤ教の一分派であり、その名称クムランは「敬虔な者たち」の意味で、約4000人が独自の律法解釈にもとづく厳格な規律に従って、禁欲的共有財産制の修道院に似た共同生活を営んでいたといいます。隣人を助け、一人の奴隷も武器も持たず、戦争関係の仕事は一切しないという一派。その中心思想は、世界も人間も生と死、光と闇、善と悪の霊といった2つの力によって支配されているとする二元論的終末観によって特徴づけられています。
死海写本という宝物は、ユダヤ人にとって西暦70年のローマ軍によるエルサレム陥落で終止した、聖地における彼らの歴史と文化、特にその宗教的習慣と思想を証するかけがえのない歴史資料と言えます。また、ユダヤ教とキリスト教の起源を解明する上でも、計り知ることの出来ない絶大な価値を有するとも考えられています。
「ユダヤ人」であったナザレのイエスや彼の弟子たちが活動していた時代と時を同じくする死海写本。考古学上や聖書研究史上からも20世紀最大の発見といわれ、欧米キリスト教国では、世界を揺るがす出来事として広く報道されたのです。
クムランの遺跡