暑さが一段落し、いよいよスポーツに最適な季節となってきた。
しかし、急に体を動かすと、さまざまな外傷、障害を起こしてしまう。
特に高齢者が気をつけなければいけない骨折に注目してみた。
生活習慣病による死、メタボリックシンドロームの増加の要因のひとつに、運動不足が挙げられている。死の四重奏と呼ばれる「肥満」「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」は、体を動かすことを習慣づけることで、リスクを減少させることができる。
さらに、運動をすることで筋力や持久力、敏捷性などの運動機能が高められる他、新陳代謝や免疫力も高められ、健康的な体にするための良い循環が生まれる。
ただ、運動に伴うけがや筋肉痛、脱臼、肉離れなどには注意したい。 これらは、準備運動をせず、急に激しい運動を始めてしまったり、一度に強い力がかかってしまったりすることで起こる。 日常生活で運動習慣がある人でも、スポーツやウォーキングを始める前には、必ず、ストレッチなどのウォーミングアップをしておきたい。
特に、高齢者で気をつけなければならないのは、骨折。 骨密度が低い高齢者が多く、一度骨折をしてしまうと寝たきりになる可能性もあるからだ。
骨粗鬆症とは、骨の密度が小さく、粗く、弱い状態。腰や背中が痛くなったり、曲がったり、骨折しやすいため、危険な症状だと注意が呼びかけられている。
骨は絶えず新陳代謝を繰り返し、骨を壊したり、新しく作ったりしている。 しかし、骨のもとになるカルシウムの摂取が不足したり、高齢によって骨をつくるためのホルモンが少なくなると、徐々に、骨がスカスカの骨粗鬆症になってしまう。
骨粗鬆症は日常の生活の心がけで予防することができる。 次に挙げた予防法で、ぜひ、骨太な体になり、元気に運動をしてもらいたい。
○カルシウムの摂取
乳製品、大豆製品、小魚、緑黄色野菜、海草などに多く含まれている。
○定期的な運動
骨に荷重をかけて強くする。
○日光にあたる
紫外線の問題があるので、普通に散歩や洗濯物を干す程度で充分。
お酒はコーヒー、たばこと共にいわば許された薬物だ。
上手に付き合えば、緊張感を和らげ、疲労回復、ストレス解消に役立ち、人との交流も深まる。
しかし、一歩間違えば、恐ろしい相手となる。
アルコール依存症の多くは、中高年男性だったが、最近は若者や女性にも広がり、大きな問題となっている。
アルコール依存症には、精神的依存と身体的依存がある。
飲まないとイライラして落ち着かないのが、精神的依存である。一方の身体的依存は、アルコールが切れると、手の震え、発汗、発熱、動悸、下痢、不眠、寝汗などが現われ、ひどくなると、けいれん発作や幻覚を起こすのである
いったん発症すれば、一生酒を断つしかない、断酒しても酒を口にすると再発する厄介な病気である。
脳の機能分布
お酒は、脳に働き、酔いをもたらし、気分を変える物質である。
理性による束縛を解くため、緊張感や不安が消え、精神的解放感が味わえる。
心地よく酔えば、一日の疲れをとり、明日への活力を生む百薬の長となる。日頃のうっぷん晴らしにもなる。しかし適量を超えると、ガラリと人が変わったり、異常な行動を起こすのである。
アルコールの多くは、肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によりアセトアルデヒド
になり、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の作用で酢酸を経て、水と二酸化炭素に分解されるのである。
日本人などの黄色人種で、お酒が飲めない人が飲むとすぐに顔が赤くなり、気分が悪くなることがある。
その原因はアセトアルデヒドで、遺伝的に活性の高いALDHを作れないため、このような症状が出るのである。
酔いは、心と体の司令塔である脳がマヒした状態で、アルコールは、中枢神経に働く麻酔薬と言える。 この麻酔作用は、ほぼ脳の上部から深い部分に向かって効いている。
アルコールは、まず大脳新皮質の機能を低下させる。 ここには、意思や思考、判断など高度な精神活動を行ったり、感覚、運動、言語の中枢がある。 気分の解放をもたらす新皮質のマヒが強まると、感覚中枢の機能が鈍り、物にぶつかっても痛みを感じない、刺激に対して鈍感になるなどの症状が出てくる。 また、ろれつがまわらなくなったり(言語中枢マヒ)、千鳥足(運動中枢マヒ)になるのである。
酔いが進むと、新皮質(理性の場)によって、押さえ込まれていた本能や感情がむき出しになってくる。 笑い上戸、泣き上戸、怒り上戸は、こうして誘発される。 下品な事を言ったり、大声を出す、暴力を振うなどの行動も見られる。 運動に関わる小脳もマヒするため、体のバランスが崩れて千鳥足がひどくなり、うまく歩けなくなることもある。
意識ももうろうとし、短期記憶も混乱してくる。 このため、少し前に話したことを忘れてしまい、同じことをくどくど言う。 翌日になって、言語が記憶に残っていないブラックアウトにも陥るのである。マヒが脳全体に広がると、血圧、呼吸、嘔吐などの中枢(脳幹)までが、ダメージを受け、急性アルコール中毒で死亡する危険性も高くなる。
女性のアルコール依存症が増えている。 特に30歳未満の若い層に目立っている。 女性はホルモンの関係で、男性に比べて アルコールの害を受けやすいのである。
女性の社会進出が進み、男性のものだったお酒は、急速に女性の間に浸透した。 ストレスや疲労の解消にお酒を飲む女性も多く、飲酒文化のファッション化も女性の飲酒に拍車をかけている。 男性は習慣的な大量飲酒を始めて20年程で依存症になるとされるが、女性はこの半分、約10年で発病するケースが多いようである。
これは、女性ホルモン(エストロゲン)が大きく関与している。 女性ホルモンは、アルコール分解酵素の働きを阻害するために、同じ量でも酔いが深く、体内に残っている時間が長くなるのである。 この酵素が働くかは遺伝によるが、飲める遺伝子を持った女性でも、同じ男性に比べると、生理的には、アルコールの影響は強く受けている
女性が大量飲酒を始める時期には2つの山がある。 一つは、女性ホルモンの分泌が盛んな20代、もう一つの山は閉経期である。女性ホルモンが低下するため、ホルモンによるブレーキがはずれ、たくさん飲めるようになる。 卵巣や子宮摘出手術の後に酒の量が増えるが、これも女性ホルモンが減少するためである。
また、女性は妊娠すると、女性ホルモンの分泌が盛んになるため、アルコール代謝が阻害され、悪酔いしやすい。 これは、血液に溶けたアルコールが、胎盤を通し、直接胎児に影響を与えるため、胎児性アルコール症候群といって、障害を持った子供が生まれる危険性がある。 妊娠の可能性がある女性で生理不順のため妊娠に気づかない人は、飲酒に十分な注意が必要である。
いずれ、日本のがん死亡原因の1位になるであろうと予想される大腸がん。
予防対策は日常生活の過ごし方の中にあります。
現在、日本人の死亡原因のトップが“がん”であることは良く知られています。その中でも胃がんが最も多いのですが、急激に増加傾向にあるのが大腸がん。 しかも、女性の死亡原因から言うと、数年前、結腸がんと直腸がんを合わせた大腸がんが1位になっています。
なぜ、大腸がんが増えてきたのでしょうか。 年齢の影響や潰瘍性大腸炎との合併症、 大腸ポリープができやすい体質などいくつか要因はあります。 ただ、大きな要因は、今の食生活の変化にあると言われています。
昔は、粟、麦、ひえなどの穀物を中心に、食物繊維たっぷりの野菜や魚を食べていました。
しかし、今は高脂肪高タンパクの欧米型の食事が中心。
大腸がんだけでなく、生活習慣病やその他のがんの要因にもなると指摘されています。
実際に、脂肪の摂取量が多い国ほど大腸がんの発生率が高くなっています。
大腸がんは治りやすいがんとも言われているにもかかわらず、死亡数が増加しているということは、それ以上に罹患者が多いということ。気づいたらいつの間にか大腸がんだったとならないよう、しっかり予防しておくことが大切です。
部位別がん罹患者数の推移
がんが悪性であるか、良性であるかは「分化度」によって決まります。「分化」とは、細胞が分裂して成熟していくことです。
正常な細胞から元の細胞の形や働きを残しているものを「分化型のがん」「高分化のがん」と言い、おとなしく悪性度の低いがんです。 元の細胞の性質を残していなかったり、性質が確認できないものを「低分化のがん」、「未分化のがん」と言い、悪性度が高く、増殖や転移も速いがんです。
幸い、大腸がんには「高分化のがん」が多く、悪性度が低いため、治りやすいがんと言われています。 ただ、無症状の場合が多いので、早期発見に努めることが望ましいでしょう。
また、良質な日常生活を送ることによって予防しやすいがんとも呼ばれています。私たちが普段の生活に予防法を取り入れれば、大腸がんを未然に防ぐことができるのです。
●食事
欧米型の食事が問題とされている大腸がん。肉類よりも青魚を積極的に摂りましょう。がんを抑制する働きを持つβ-カロチンやビタミンは緑黄色野菜に多く含まれています。
食物繊維は直接、大腸がん予防には関係ないとされていますが、腸内をきれいにするため、便秘を解消します。 もし、便に発がん性物質が含まれていたとしても、すぐに排泄することができるのです。 腸内では善玉菌のえさになるため、善玉菌を優位にするためにもぜひ、毎日摂りたい栄養素です。 また、オリゴ糖は特に大切です。
*葉酸とカルシウムに注目! 葉酸には腸粘膜を正常に整える働きがあり、カルシウムには大腸がんになる前の「大腸腺腫」を抑える働きがあると報告されています。
●運動
結腸がんの予防に運動が効果的であることが報告されています。
また、肥満が結腸がんのリスクを高めることもあるので、肥満予防のためにも体を動かしましょう。
腹筋、背筋を鍛えることにより、腸に適度な刺激を与え、活発な活動を促す効果があります。
●嗜好品
がんの発生と深い関わりがある喫煙。
大腸がんにも同じことが言えます。また、お酒の飲み過ぎも良くありません。
たばこは禁煙、お酒は適量を守りましょう。
腸の中には体に有益な「善玉菌」と健康に害を与える「悪玉菌」があります。 また、もうひとつ、体調によって善玉菌になったり悪玉菌になったりする「日和見菌」も存在します。
健康な腸とは、善玉菌が80%、悪玉菌が20%存在する、善玉菌優勢の状態。
便秘や欧米型の食事が多いと、悪玉菌が優勢になってしまいます。
常に良い状態を保てるよう、食生活に気をつけましょう。
健康な腸が大腸がんの予防につながります。
古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、
そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、
父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、異文化の魅力にあふれた国、イスラエルをご紹介します。
どんな民族や宗教にも、食べるときの礼儀作法の定めなどは一様にありますが、ユダヤ教は、これに格別な重点をおき、複雑な一連の戒律を設けています。
ユダヤ教では、食べてよい食物と、食べてはいけない食物を定め、この律法のことをカシュルート(食事規定)といい、食べてよい食物のことを一般に「コーシェル」と言います。
それでは、なぜコーシェルのような規定があるのか。古代社会の衛生意識が未発達の時代に、人々の健康と安全を守るためという説もありますが、やはり他のユダヤ教の戒律と同様に「神が定め聖書に書いてあるから守る」という答えが一般的ではないでしょうか。
規定として動物については、まず「草食動物であり、蹄が割れていて、反芻するもの」と定められています。 禁忌の代表的な家畜として豚は、蹄は割れていますが、反芻しないので食べることができず、それに対して牛は、蹄が割れていて、反芻するので食べることができます。 また、海に住む生物では、「ヒレがあって鱗があるもの」とされ、鱗のない鯨や鰻など以外の魚は食べられますが、蟹、海老、貝などは禁止されています。
その他にも、動物に対する残虐行為を禁じていることから屠殺方法の条件、死肉や血抜きをされていないものは禁止しています。
レストランには様々な料理が並びます
また、肉類と乳製品を一緒に食すことを禁じ、食卓に同時に並べることはもちろん、胃袋の中で肉類と乳製品が交じり合うことを避けるため、肉類を食べた後6時間は乳製品を、乳製品を食べた後2時間は肉類を口にしないほど、徹底した宗派の人達もいます。 更に敬虔なユダヤ教徒の家庭では、肉類と乳製品を調理する器具、盛る食器、洗浄する流しなども2つ用意され、厳密に分けられています。
この数年間、イスラエルにも色々なファーストフード店が開店しました。世界的に有名な「赤地に黄色のMがトレードマークのハンバーガーショップ」も、テルアビブにあるのは「青地にM」。 そして英語とヘブライ語で看板に「コーシェル」と書かれています。これらの店舗ではチーズハンバーガーやミルクシェイクなどは販売されていません。 このチェーンでも「初の試み」だそうです。
宗教や文化をはじめ、世界的に開かれた現代社会において、自己規制を重要とするコーシェルを守るのは容易ではありません。 正統派ユダヤ教徒は別として、イスラエルでも全てを完璧に守っている人は多くありませんが、基本的に豚肉を食べないこと、肉と乳製品は別にすることなど、食習慣の中で自然に行われています。
生活・食習慣、異邦人には色々と不便な面もありますが、それはそれで、ユダヤ教らしさ、イスラエルの文化に触れる興味のひとつでもあります。