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健康の輪デジタル新聞

2007年3月号

[特集]温泉で温まって元気な体をつくる!!

寒さは緩んできたが、花粉症などのアレルギー症状が出やすい季節。体を温めて免疫力を高めることができる温泉で病気を予防してみては。
心身共にリラックスでき、他にも様々な効果が出てくるだろう。

 

体を温めて病気予防

古くから“湯治”という言葉があるように、温泉に入ることで人は健康になろうとすることがある。 最近では、温泉の効果が科学的に実証される機会も多くなり、体のために楽しむレジャーとして、人気が続いている。

中でも、お湯で体を温めることは、低体温の多い現代人にとって注目すべき対策のひとつ。 免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなると言われている低体温の症状を防止することができるためだ。

体が冷えていると、自律神経失調症や生理不順、重症の更年期障害などにかかりやすくなる。 さらに、がん細胞は低体温を好むと言われ、がん細胞を消滅するための温熱療法が開発されているほど。

健康な人の平均体温は約36・5度。新陳代謝が最も活発になるため、体内の老廃物や疲労物質を取り除き、疲労回復、美肌への効果も期待できる。

温泉のみならず、まだ肌寒い風が吹くこの季節、1日の最後に、冷え切った体をお風呂で温めておきたい。 シャワーだけでなく、しっかり湯船に浸かり、体を芯から温めるようにしよう。
また、お湯に浸かることで血行不良も解消される。 血液は一緒に栄養と酸素を運んでいるため、温まることで体を元気にさせることができる。

温泉入浴の効果
温 熱
体温上昇、血行不良解消、新陳代謝の活発化により、健康的な体にすることができる。
就寝前は40度以下のお湯で心身をリラックスさせたり、朝起きた時は42度ほどの熱いお湯でしっかり目覚めさせたり、自律神経をコントロールすることもできる。
水 圧
適度な水圧が体にかかることで、ほどよいマッサージ効果をうみ、血液循環を促すことができる。 また、重力によって足に溜まった血液を押し出すことができる。
浮 力
普段、私達の体には重力がかかっているが、お湯に入ることで浮力の作用が働くので、筋肉の緊張がほぐれる。
体が受けているストレスを解きほぐし、心身共にリラックスさせることができる。
※日常とは異なる温泉地への旅行が心身のリラックスにもつながる。
※環境省は、温泉の効用(適応症)決定基準を、科学的に検証し直す方針。2008年度中に新規準を策定する予定。

さらに健康を促進させる温泉効果

お湯に浸かるだけなら家庭のお風呂でもできるが、それに加え、様々な薬理・科学的作用を与えてくれるのが温泉。

例えば、二酸化炭素泉は保温や高血圧に、重曹泉は保湿に、硫黄泉は高血圧や動脈硬化に良いとされている。 温泉地によって成分が異なるので、自分の好みに合わせて温泉を選ぶのも良い。 ただし、持病や体質によっては体調を崩すこともあるので注意しよう。

体を芯から温めてくれる温泉を最も実感できるときは、お湯に浸かって気持ち良いと感じるときではないだろうか。 心がリラックスすることも健康には良い。 効果的に利用して、健康維持をしてみよう。

 

[健康長寿を目指して]健康100歳を目指して─がんを防ぐ

がんは、日本人の死因のうち最大のものであり、特に一次予防が重要である。発がんした後に、原因物質や原因病原体を除いても、がんは治らない。
例えば、木の棒で叩いてコブができた後に、棒を折ってもコブは治らないのと同じである。
したがって、がんの一次予防は、二次予防を含むがんの治療とは根本的に異なっている。

 

発がんの3段階と予防法

がんは、体細胞遺伝子の変異による細胞の異常増殖であるが、発がんには、次の三つの段階がある。

  1. 活性酸素や発がん物質による細胞の遺伝子の変異(イニシエーション)
  2. プロモーターによるがん細胞の増殖促進(プロモーション)
  3. がんの悪性度の増強、染色体異常、テロメラーゼの発現(プログレッション)

遺伝子の変異の段階では、がん遺伝子が活性化し、がん抑制遺伝子が活性を失う。 そして、老化によってがんの頻度が高まるのは、多数の変異が蓄積していくためと考えられる。

がん遺伝子やがん抑制遺伝子に変異を引き起こす物質をイニシエーターと呼ぶ。 イニシエーションが起こるのは、発がん物質、 がんウイルス、自然界の放射能、紫外線などの イニシエーターの作用による。 肝がんの7割はC型肝炎ウイルスによる遺伝子の変化である。

また、イニシエーターが作用した細胞が、がん化するのを促進する発がん物質がある。 これを発がんプロモーターという。 卵胞ホルモン(エストロゲン)や フォルボールエステルは、その代表である。 殺虫剤(DDTやBHC)などにもプロモーターの作用がある。

そこで、イニシエーションを抑制するために、活性酸素を除去するビタミンCやビタミンE、 そしてビタミンA(β―カロチン)が用いられている。 プロモーションに対しては、抗プロモーター作用を持つビタミンAやその類似物質のβ―カロチンが有効である。
さらに、ビタミンAからつくられる オールトランスレチノイン酸(ATRA)は、急性前骨髄球性白血病などに対して極めて有効な治療薬として用いられている。 また、最近では、9―シスレチノイン酸も肝がんなどに有効とする評価が発表されている。

これらの化学物質による予防は化学予防と呼ばれる。 一方で、タバコは、がんに関係して、イニシエーターであると共に、プロモーターであることが分かっている。 ちなみに日本の男性喫煙率は、52・7%で先進国中で最高である。

発ガン多段階説

※ヒトでは前がん状態から臨床的ながんとなるのに10〜20年かかる。
  (例:C型肝炎→肝硬変、肝がん)
  資料:カロチノイド学術講演会より

 

がんの一次予防の有効性

がん細胞は人体内の ナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれる特殊な白血球によって破壊される。 そして、NK細胞の活性を高める生活習慣を調べたところ、適正体重・身体活動の維持、規則正しい生活、緑黄色野菜・豆類・乳製品の摂取などであることが分かった。
規則正しい生活で、がんが予防できるのは、神経系・免疫系・内分泌系の間で、サイトカインと呼ばれる免疫関連物質で相互に連絡していることによる。 また正しいリズムで睡眠をとれば、サイトカインに属する抗腫瘍因子である腫瘍壊死因子と インターロイキンTが関連して、NK細胞の活性を高めるとされている。

ところで、がんは致命的な疾患であることから、早期発見、早期予防という典型的な二次予防の対象と考えられてきた。

ごく小さい早期がんでも、治療となると、臓器の切除により生活の質を低下させることになる。
日本で最も多い胃がんについて『日本医師会雑誌』に紹介された研究によると、早期胃がんの発見後2年間の生存率は90%もある。 その中で43人の早期胃がん患者を29ヶ月間の追跡調査をしたところ、実に16人は早期がんのままであった。 残る27人は進行がんになったが、計算上は早期がんから進行がんに進展するのに37ヶ月かかり、平均生存率は6年を超えた。 このことは、胃がん検診よりも一次予防がさらに有効なことを示している。

また日本人に多い胃がん、肝がんなどの上部消化器がんの原因として、胃がんや胆のうがんは ピロリ菌の慢性感染、肝がんがB型やC型の肝炎ウイルスによる慢性肝炎による場合が多いことが分かった。 胃がんの前に見られる30歳以降の萎縮性胃炎の頻度は、ピロリ菌抗体の陽性者(感染者)では85%にのぼるが、陰性者では20%に過ぎない。 抗生物質によるピロリ菌の除菌やインターフェロンαによるC型肝炎ウイルスの除去は有効な予防手段である。

がん予防に関する勧告
1997年の世界がん研究基金による発表
@食料供給と摂取 植物性食品を基本とした多様な食物の摂取。
A適正体重の維持 BMIを21〜23にする(乳がん予防)。
B身体活動の維持 身体活動水準を基礎代謝の1.75倍以上とする(結腸・大腸がん予防)。
C野菜・果物類 これらを総エネルギーの7%以上毎日摂取する(消化器がん、肺がん予防)。
D他の植物性食品 でんぷん食品や植物たんぱく質食品を総エネルギーの45〜60%摂取する。
E飲酒 酒は総エネルギーの5%以下(男性)、2.5%以下(女性)とする。
F肉類 赤身の肉として総エネルギーの10%以下とする。
G総脂肪と油 総エネルギーの15〜30%以下とする(魚油やオリーブ油は体によいので含まない)。
H塩分と塩蔵品 1日の食塩摂取量は8g以下とする(胃がん、上咽喉がんの予防)。
I貯蔵 保管・貯蔵にはカビ汚染を抑える。
J保存 腐敗しやすい食物は冷凍か冷蔵がよい(胃がん予防)。
K食品添加物・残留成分 添加物、汚染物質の安全基準と監視の確立。
L調理 肉・魚の調理は比較的低温で行う。
M補助食品・補助栄養剤 使用の必要のない食事パターンを勧める。
N喫煙 タバコの種類を問わず生産・宣伝を抑制する。

 

[気になる実になる健康講座]環境が及ぼす健康への影響Part.1─地球温暖化、生態系への影響が人の健康を脅かす

“環境”と聞いて、最近、真っ先に浮かぶ問題と言えば、地球温暖化ではないでしょうか。
地球が暖まることにより、自然へ影響を与えるのはもちろん、最終的には人の体にまで及ぶことが予測されています。

 

進行している地球温暖化

暖冬、真夏日の増加、頻繁する集中豪雨など、普段、私達が体験している異常気象は地球温暖化が原因ではないかと指摘されています。 そもそも地球温暖化とは、地球を包んでいる温室効果ガスが増えすぎ、地球を温かくしてしまう現象のこと。 温室効果ガスにはメタン、フロンなど様々ありますが、最も地球温暖化に影響を与えているのが二酸化炭素です。

1990年代より、地球温暖化が、人類も含む生物全体に深刻な問題をもたらすことが指摘され始めました。 2005年に発効された「京都議定書」は、地球温暖化を防止しようとする国際的な動きの一つです。

京都議定書では、温室効果ガスを先進国全体で、2008年から2012年までの期間に、削減基準年の1990年の排出量から5.2%削減 (日本では6%)しようと義務づけています。

長期にわたる地球温暖化防止の第一歩となるはずの京都議定書ですが、温室効果ガスは増加し続けているのが現実です。

自然から人の体へ広がる影響

実際、20世紀の100年間で地球全体の平均気温が約0.6度上昇しています。 このままでは、10年後に1.4度、 最悪の場合5.8度も気温が上昇するのではないかと危惧されています。
地球温暖化の問題は、気温の上昇だけに留まりません。 地球が暖まることで、様々な事態が予測されています。

その一部が、海面の上昇や雨の増加の他、台風、熱波、エルニーニョなどの異常気象が頻発し、より強くなるだろうということです。 これらの自然現象の変化が自然生態系を崩すため、人の健康にも影響を与えていくのです。

身の回りに存在していた植物や動物・昆虫は、今まで生息していた地域の気温が高まることで、頻繁に病気を発生したり、生息が北上したり。 日本の代表的な農作物「米」は、雨や雪の降り方の変化や害虫の発生、川の流量の変化などから、収穫の減少が予測されています。

米以外にも、地球の平均気温が2.5度ほど上がると、食料の需要に供給が追いつかなくなると言われています。 もちろん、食生活に変化が出れば、健康被害にも遭いやすくなります。 特に農作物の自給率が低い日本では、食料確保の面で大きな影響を受けるのではないでしょうか。

地球温暖化によって予測される自然現象と健康・食生活への被害
●最高気温の上昇、真夏日・熱波の増加→高齢者や都市貧困者の死亡や重病発病の増加。家畜や野生生物の熱ストレス増加など。●最低気温の上昇、寒波の減少→一部の穀物の被害リスクの増加(多くは被害リスクが減少する)。一部の病害虫や媒介動物の範囲の拡大や活動の活発化。●夏の乾燥化、干ばつによる被害の増加→穀物生産量の減少、水量の減少、水質の低下。●暴風雨が激しくなる→人名や健康リスクの増加。沿岸生態系の被害の増加。

急激な変化が危険

長い地球の歴史の中で、これほど急激に自然が変化してきたことはありません。 しかも、その変化の原因が二酸化炭素の排出増加という人の手によるものであることも問題。
地球上全てのバランスが崩れ、人の体がそれについていけない状態になっているのです。

すでに地球温暖化は始まっています。 まず、私達は地球の為にも、自分自身のためにも、地球温暖化を防止しなければならないのです。

《地球温暖化の影響》
石炭や石油の燃焼により、
二酸化炭素などが排出される。
大気中に二酸化炭素が増える。
地球の平均気温が上昇
────暖かい冬、暑すぎる夏
海面の上昇。
自然の生態系が変わる。
沿岸線が変化する。
雨の量が増える。
川の流量が変わる。
農業、林業、水産業の変化。
沿岸域などの観光資源に被害が出る。
高潮や台風の被害。
熱中症、日射病の拡大など、健康への被害。

※参考資料/「STOP THE 地球温暖化 2005」環境省

※次回は「地球温暖化がもたらす病気と、私達ができる温暖化対策」を予定しています。

 

 
イスラエル地図

[トピックス]繰り返された支配の歴史・世界文化遺産の街「アッコ」

古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、 異文化の魅力にあふれた国、イスラエルをご紹介します。

 

イスラエル北部、ハイファの北東14q、地中海を臨む小さな港町『アッコ』。 その歴史は紀元前20世紀と驚くほど古く、紀元前16世紀にはフェニキア人の港湾都市として機能し、様々なモノが行き交う魅力的な良港として繁栄したと言われています。
それ故に、アレキサンダー大王、エジプト、十字軍、マムルーク朝、オスマン朝など多くの覇者による支配が繰り返され、更にはナポレオンも攻略(攻め入ろうとしたが、梯子が50p足らずに断念したという説もある。結局、失敗に終わった…)、イギリスにも統治されていた時代があり、実に波乱万丈な町です。


波が打ち寄せるアッコの海岸の城壁

現在の町は、ユダヤ人が多く居住するヨーロッパの新興住宅街を思わせるような新市街と、アラブ人が多く居住し、周囲を強固な城壁に囲まれた旧市街に分けられます。 新市街から旧市街の城門をくぐると、途端に雰囲気が変わり、馬車が闊歩し騒々しく、石畳に石造りのイスラム建築の建物が並び、迷路のように狭い小路が入り組んでいます。

アッコの旧市街は、十字軍の聖地最後の拠点として有名であり、数々の遺跡が眠る歴史の宝庫であることから、2001年に世界文化遺産に登録されました。 その象徴として、現市街の地下8mには中世ゴシック様式の十字軍時代に建造された巨大要塞があります。 この遺跡が発見されたのは、20世紀の前半と言われ、英国植民地政府の刑務所から、囚人が脱走しようと偶然、地下へ逃げる道を掘っていた際に発見されたそうです。

地下に拡がる要塞に入ると、薄暗く空気が急に冷たく感じ、往時の雰囲気を残す数々の壁面や、中央に三角の石を組み込んだ十字軍時代の特徴的なアーチ型の天井が続きます。 要塞内には、十字軍と巡礼者達が医療活動をした場所や公衆浴場跡、「騎士の間」と呼ばれる馬術や槍の訓練をしたホールなどがあります。 常に敵から攻め込まれる可能性が高かった事から、内部の曲がり角は意図的に狭く造ってあり、敵に侵入された際も容易に剣を振り回せないよう工夫されています。


騎士の間


公衆浴場跡

また遺跡の他にもモスクや教会が多数あり 「モスク・アル・ジャザール」は、1781年にオスマン朝の知事アフメッド・アル・ジャザールによって建てられました。 イスラエル第2のモスクと言われるだけあり、非常に豪華な作りで、床にはペルシャ絨毯が敷きつめられ、立派なシャンデリアなど内装も目を見張る美しさです。

かつてマルコ・ポーロも訪れたという記述が残されているアッコ。
青い海に傾く太陽の光が、きらきらと海岸に映え、オスマントルコ時代の灯台が辺りを照らす アッコ・マリーナ。 そして、暗くなった町の茶色い壁を美しく引き立たせるナトリウム灯の街灯など、中世を偲ばせる幻想的な雰囲気で、訪れた人を優しく包んでくれます。


モスク・アル・ジャザール

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