私達の生活に役立っているバイオテクノロジー。言葉自体は新しいが、昔から使われている技術。
研究次第では、地球環境を救うこともできるのだ。
みそ、ワイン、ヨーグルト、私達が普段、何気なく食べているこれらの食品はバイオテクノロジーによって作られている。
そもそも、バイオテクノロジーとは、バイオロジー(生物)とテクノロジー(技術)の合成語で、生物が持っている力を人間の生活に役立たせる技術の総称。作物の品種改良や発酵食品を作ったりすることもバイオテクノロジーの一部になる。
日本で食べられている野菜の原産地はほとんど海外。 日本の土地に合わせておいしく食べられるようにと、品種改良がされてきた。 こうして、様々な野菜を豊富に食べられるのも、バイオテクノロジーのおかげというわけだ。
食卓に並ぶバイオテクノロジー
最近、よく耳にする遺伝子組み換えやクローン技術もバイオテクノロジーによるもの。遺伝子組み換え作物の栽培は、農薬を減らし、収穫量を増やせる、乾燥にも強い品種を作ることができるなどのメリットがあると言われている。厚生労働省でも安全性を評価しており、地球全体の食糧難や砂漠化を救う技術と期待されている。
しかし、遺伝子組み換えやクローン技術については、論議が交わされていることも忘れてはいけない。ただし、バイオテクノロジーの新しい技術には、食品だけでなく、エネルギー、医療、ごみ問題の解決にもつながる技術もある。例えば、とうもろこしが原材料の、土に還すことができるプラスチックはすでに市販がされている。これは、生分解性プラスチックと言って、石油を使わずに作られているため、製造が持続可能。土へは半年から1年で分解できるため、環境問題に貢献できると言われている。
このように、バイオテクノロジーの研究は、新たな問題を引き起こさないよう、慎重に進めながら、人間のため、地球のために行われている。今後の研究成果に注目していきたい。
広く応用されるバイオテクノロジー
高尿酸血症とは血液中の尿酸値が高くなった状態で、自覚症状はほとんどないが、その状態を放置しておくと、関節などに尿酸の結晶がたまり、痛風になる恐れがある。また骨粗鬆症は、骨の密度が減少し、骨が弱くなり折れやすくなる病気で、寝たきりの大きな要因となっている。
高尿酸血症が持続すると、血清尿酸値の高さと持続期間にしたがって痛風を起こす頻度が上昇する。そして高尿酸血症は肥満、高脂血症、高血圧、 糖尿病などの生活習慣病を併発するのである。
検診で尿酸値(正常値4〜60mg/dL)が70mg/dLを超えた場合、積極的に予防に力を入れることが必要である。
尿酸は、核酸に含まれるアデニンとグアニンに由来するプリン体が原料であり、核酸の多い内臓の摂取や体内の代謝で生じる。
また、肥満の進行とともに、腎臓から時間当たりに排泄される尿酸量(尿酸クリアランス)が低下するが、減量すると尿酸の排泄も回復する。また内臓脂肪の増加では、尿酸合成が増加する。そこで適度の有酸素運動が勧められるが、急激な激しい運動は、組織を破壊してしまい、かえってプリン体が増えてしまうのである。
高血圧症の高尿酸血症の合併率は、男性で健常者の2倍、女性で4倍である。さらにお酒を飲むとプリン体の過剰、尿酸合成の促進、尿酸排泄の低下の3つが同時に起こる。
また高尿酸血症の約半数は、U型高脂血症をともなう。糖尿病の併発も多い。これはメタボリックシンドロームの現れの一つである。
したがって、プリン体の多い内臓などの摂取を制限し、禁酒する他は、適性体重の維持など一般的な生活習慣病の予防が原則である。 美食家が好むビーフステーキ、エビ、カニ、マグロ、ヒラメなどの内臓には、プリン体が特に多いので厳しく制限しなければならない。
一方、食べてもよいたんぱく質は、鶏肉、大豆、チーズなどである。また水分と野菜などのアルカリ性食品は、尿酸を溶かして沈着を防ぐので、これらを多く摂るようにする。
骨粗鬆症による骨折は、わが国に多い寝たきり老人となる原因の中で第2位を占めている。ちなみに第1位は脳卒中である。
骨粗鬆症とは、骨の容積は減少しないが、骨の中に含まれる骨塩(骨の無機質)と骨を支える骨基質がともに減って、骨が折れやすくなる状態である。骨塩としては、カルシウムやマグネシウムが大切である。
骨塩の量は骨密度計を用いて放射線の透過度で計る。骨密度は、骨塩量をレントゲン画面の面積で割った値で、20〜50歳までが最大で、それより高齢になると急速に減少していく。
これは骨をつくる骨芽細胞の機能が低下するためで、血液中のオステオカルシンというたんぱく質の量が減るので診断できる。
骨折する高齢者の80%は、骨密度が低い。骨密度は若年成人の平均値から標準偏差マイナス1.5〜2.5未満が境界領域で、マイナス2.5以下に減少すると骨粗鬆症と診断される。
骨塩量は、16〜18歳で最大に達するが、20歳代でも骨塩量が平均より低い人は骨粗鬆症の予備軍である。
年齢と骨量の関係(腰椎)
(女子栄養大学 上西)
骨粗鬆症は骨をつくる骨芽細胞の働きに比べて、骨を破壊する破骨細胞の働きが強くなるために起こる症状なので、この予防にはカルシウム、 ビタミンD、たんぱく質が重要で、運動も不可欠である。戸外の日光を浴びてビタミンDをつくるのも良い。
カルシウムは、牛乳、大豆、小魚、野菜、海藻に多く含まれる。ただし牛乳を大量に摂らなければカルシウム量が満たされない場合は、低脂肪乳でないと飽和脂肪が多くなり、動脈硬化を促進する有害作用もある。
また海藻も甲状腺機能の異常のある人では、ヨードが過剰になる恐れが指摘されている。
また特に、骨に力を与えることが骨粗鬆症の予防によく、筋肉を増量するのがよい。運動は垂直方向に体重負荷のかかる大股歩行が良いとされる。そして古きよき日本の生活様式の特徴である布団、畳、和式トイレの生活は、運動量を増やし、大腿骨頚部の骨折の予防になるのである。
感染症の予防に有効なワクチン。全ての病気に、全ての人が受けられるわけではなく、接種のためには注意も必要ですが、感染症で苦しまないためにも、予防接種が勧められています。
かつて流行していた感染症の中には、多くの死亡者をもたらす病気もありました。それらを根絶、または減少させようと開発されたワクチンは、感染症対策に大きく貢献しています。
実際、ポリオは日本を含む西太平洋地域で根絶宣言がされています。ただし、根絶しているからと言って、ポリオワクチンを接種しなくても良いというわけではなく、根絶の状態を維持するためにも、ワクチン接種を続けていかなければなりません。世界的にみると、ポリオ患者の報告はされているので、他地域で感染することも考えると、やはり、接種は続けるべきです。
そのためにも、予防接種法及び、結核予防法を設け、予防接種対象者(主に乳幼児)は接種に努めなければならないことになっています。
予防接種を受けておけば、その疾患にかからないか、かかったとしても軽症で済みます。ただし、副反応もあるので、医師と相談してから受けるようにしましょう。
予防接種は希望する時にいつでも接種できないものもあります。集団接種を実施している市町村ではそれに合わせなければなりません。
ポリオやBCGなどの生ワクチンは27日以上、日本脳炎やインフルエンザなどの不活化ワクチンは6日以上あけるなど、異なった種類のワクチンを接種する場合は、接種間隔が決められています。
特に乳幼児は様々な予防接種を受けなければならないので、計画的にスケジュールを立てておくことが理想です。
ワクチンとは、伝染病の原因になるウイルスや細菌などの弱い病原体のこと。予防接種で使う予防接種液です。ワクチンを体へとりこむことで、体内に抗体をつくり、感染しにくい体にします。
ワクチンを発見したのはイギリスの医学者。牛痘にかかった患者が天然痘にかからなくなることから天然痘ワクチンをつくったのが始まりです。
全ての病気に対してワクチンがつくれるわけではなく、病原体の性質によって、つくれないものもあります。
基本的には、一度ワクチンを接種すれば、一生、感染予防になります。インフルエンザの予防接種が毎年行われるのは、ワクチンの型が毎年異なるため。冬のインフルエンザシーズンが終わると、次シーズンに流行しそうな型を予測して、インフルエンザワクチンをつくります。
ワクチンで予防可能な感染症 | |||
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法律で決められている受けなければならない対象疾患 | |||
* ジフテリア | * 百日咳 | * 破傷風 | * ポリオ |
* 麻疹 | * 風疹 | * 日本脳炎 | * 結核 |
任意接種の疾患 | |||
* A型肝炎 | * B型肝炎 | ||
* インフルエンザ | * 黄熱 | ||
* おたふくかぜ | * 狂犬病 | ||
* コレラ | * 水痘(水ぼうそう) | ||
* 天然痘 | * 肺炎球菌感染症 |
任意接種が行われている疾患への予防接種は、自己の判断と責任が必要になります。
よく知られているものでは、11月〜12月にかけて行われるインフルエンザの予防接種があります。
海外旅行での渡航先や渡航期間、活動内容によっては、狂犬病などの予防接種を受けた方が良い場合もあります。
成人期にかかると重症化しやすいおたふくかぜなど、過去の感染歴によって受けた方が良い予防接種もあります。自分自身の苦しみを避けるためにも、また、他人への感染を抑えるためにも、予防接種は有効です。
石けんを使った手洗いでノロウイルスを予防しよう |
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毎年、冬にノロウイルスによる感染でおう吐、下痢症が流行します。特に、平成18年から19年にかけては今までになく、多数の感染者が出ています。 ノロウイルスは牡蠣などの二枚貝の生食による感染が有名ですが、現在の流行は人からの感染がほとんどです。 |
症状 吐き気、おう吐、下痢が主な症状。熱はあまり高くなりません。 潜伏期間は平均1〜2日と短期間です。 |
治療法 抗生物質は効きません。あまりにもひどい場合は、下痢止めなどを使いますが、むやみに使わない方が良いでしょう。 症状が出ている間は脱水症状にならないよう、水分を十分にとりましょう。 もし、おう吐などを片づける時は、片づける人以外は離れ、拭き取った雑巾などはビニール袋に入れて捨てる方が良いでしょう。最後、塩素系の漂白剤で床などを消毒します。 |
予防法 ノロウイルスのワクチンはありません。 そのため、基本的な予防法は「流水・石けんによる手洗い」になります。 外出先からの帰宅後、食事の前には必ず、家族で実行するようにしましょう。 |
古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、 異文化の魅力にあふれた国、イスラエルをご紹介します。
南北に細長いイスラエル東端の内陸部に位置するエルサレム。マウント・スコーパス(エルサレムの東にある山)の頂から、緑や色彩豊かなエルサレムの街を右(東)に観れば、左(西)は薄茶色の砂が土地を覆っているユダ砂漠と、対照的なロケーションを交互に目にする事が出来ます。
また、「スコーパス(視野)」という名の通り見晴らしが良いだけに日差しも風も強く、西の地中海から吹いてくる湿った風は、この山の頂を境に乾燥した風に変わる程、寒暖の差が激しいのです。
セント・ジョージ修道院
砂漠の中の道を進むと、十字架が立つ小高い丘が見え、それを目印に丘の上に歩を進めると、切り立つ荒野の断崖に、張り付くように建つセント・ジョージ修道院が見えてきます。眼下にはワジ(降雨時にだけ水が流れる川)があり、雨季の約半年間に川が出来、この僅かな水が修道院の1年分の生活用水になっているといわれます。
厳しい環境の中に身をおき暮らす修道僧を思い浮かべると、頭が下がる思いがします。
ユダ砂漠の荒野
そして、砂漠を抜けると緑に包まれた町「エリコ」が見えてきます。ナツメヤシやバナナが生い茂り、町の中心には市場があり、野菜や雑貨、床屋に自転車屋などが軒を連ねます。まさに砂漠の中のオアシスといった趣ですが、海抜マイナス350mと世界で最も低地にある町です。また、中心部に近い遺跡の丘「テル・エリコ」は、約9000年前の世界最古の城壁都市跡といわれ、この城壁にまつわる話が聖書に記されています。
イスラエルの民がエジプトを脱出し、数十年間、シナイ半島の荒野を彷徨った後、「神から約束された地・カナン」を目指し、最初に攻略した町がエリコだといわれています。『当時、エリコの町は城壁に囲まれ、イスラエルの民の攻撃に備えて、城門を堅く閉ざしていました。主なる神の命令を受けて、ヨシュアは、祭司たちが雄羊の角笛を吹いて契約の箱を先導し、兵士たちが毎日、町の周りを一周して歩き、これを6日間続けました。そして7日目には7周し、祭司たちが角笛を吹き、民が皆鬨の声を挙げた時、城壁はたちまち崩れ落ち、これを占領することが出来ました』。
また、遺跡の丘からロープウエイで山の中腹まで行くと、カランタル修道院があります。そして山上は「誘惑の山」と呼ばれ、イエスが悪魔から「石をパンに変えてみろ」などと3つの誘惑を受けたが、40日間の断食をして悪魔と戦ったという話が残されています。
現在、エリコは、アラブ人の町で、パレスチナ自治区になっています。ここには「オアシス」というカジノバーや、遺跡近くには店内から「誘惑の山」が臨めるレストラン「テンプテーション(誘惑)」という店などがあり、ユーモアが溢れた気さくな商店が並ぶ町です。
ユダ砂漠