大人になると脳細胞は減っていくばかり・・・の通説は誤り。鍛え方次第で年をとってからも脳細胞は増やすことができる、というのが近年の研究結果だ。
身体の司令塔「脳」。年をとるにつれて脳細胞が減少していくことはないが、なぜ、物忘れや身体の機能の反応が鈍くなっていくのだろうか。
原因は老化で脳細胞が減るわけではなく、脳細胞の働きが悪くなり、脳の元気がなくなっていくことだと言われている。脳細胞間のやりとりが鈍くなることで物忘れなどが起こる。
知人の名前が思い出せないなどの生活に支障のない物忘れ、いわゆる「ど忘れ」は全ての人に訪れる症状であり、あまり心配はいらない。しかし、中には認知症などによる物忘れもあるため、気をつけなければならない。
病気の物忘れは、知人に会ったことを忘れる、食事したこと自体を忘れるといったように、行為そのものを忘れることが特徴。こうなると生活に支障をきたしてしまうため問題だ。この場合、脳の萎縮や、脳梗塞などの脳血管障害によって脳細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなること、脳細胞の一部が死んでしまっていることなどが挙げられる。
早めに発見し、対処することで症状の進行を遅らせることもできるという。そのため、全国には「物忘れ外来」を設置する医療機関が増え、認知症の早期発見が可能になっている。
また、認知症は高齢者ばかりではなく、若い人にも起こることを知っておきたい。「若年性アルツハイマー」の原因は高齢の場合と同じだが、事故などの脳の損傷による後遺症でも起こる。
通常の物忘れは脳が元気であれば、予防することができる。常に刺激を与えて脳回路を使ったり、時には新しいことに挑戦して新しい回路を作ったり、脳を動かしてあげると良い。
具体的には本や映画で感動する、運動する、おしゃれをする、新しい仕事に挑戦するなど。刺激を作るといっても、栄養バランスのとれた食事や基本的な生活を送ることも大切。家族や仲間と声をかけあい、脳を元気にしていつまでも若々しくいよう。
私達は色々な感情を持ち、それによって様々な行動をしています。それらをコントロールしているのが、脳です。
人の体は、約60兆個もの細胞から出来ていると言われています。脳には、大脳や中脳など、幾つかの神経細胞が固まっており、その神経細胞の数は、約140億個と言われています。
この神経細胞が様々な情報をコントロールして、全身の神経に命令を伝えており、このネットワークを中枢神経と言います。その情報伝達に欠かせないのが「脳内神経伝達物質」なのです。
この物質は50種類以上あり、脳内では、これらの物質の量を安定に保ちながらコントロールされています。
しかし、このバランスが崩れてしまうと、それぞれの情報伝達に異常が起こり、心と体のバランスに支障を来す事があります。
神経細胞は、枝状の突起があり、ここで信号を受け取り、次の細胞にリレーをしています。このリレーがスムーズに行われる事で、私達の日常生活もスムーズに行われます。
リレーをする時には、バトンを受け渡ししますが、この時の細胞同士の接続部分、つまり、手と手を広げてバトンを受け渡しする部分を「シナプス」と呼びます。
シナプスでは、信号を伝えるための脳内神経伝達物質が放出され、それを受け取る事で情報のやりとりが成立するのです。
脳神経細胞は、私達が40歳を過ぎる頃から、加齢によって弱くなってゆくと言われています。さらに強いストレスを受けると、脳神経細胞が委縮してしまったりするのです。
これらが進む事で、脳の神経伝達物質がリレー出来なくなり、心と体のバランスが崩れてしまう事にもつながります。
「ストレスは、人生のスパイスだ」と言った生理学者もいました。適度のストレスなら受けて良い場合もありますが、過度のストレスは、心にも体にも悪影響を及ぼしてしまいます。
特に脳内神経伝達物質は、過度のストレスを受ける事や、脳細胞の委縮によっても、放出と受け取りのバランスが崩れてしまいます。追いつめられた時に「頭が真っ白になる」事や、「何も考えられない」状態になる原因でもあるのです。
また、ストレス状態が長期に及ぶと、うつ病などにもつながる事があり、現代の若者などにもうつ病が増えているようです。ストレス社会とも呼ばれる、現代の産物なのかもしれません。また、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症も、この脳内ホルモンのバランスによる影響が大きいのです。
○セロトニン
体温調節、血管や筋肉の調節、攻撃性の調節、運動、食欲、睡眠、不安などに関わり、落ち着きと安定をもたらします。不足すると、うつ状態になったり、暴力的になります。
○ドーパミン
神経を興奮させ、快感と陶酔感を与えます。ドーパミンを過剰に消費する様になると、幻覚や幻聴、妄想などを生じます。
○ギャバ(ガンマアミノ酪酸)
神経を鎮めるアミノ酸で、不安、けいれんを鎮め、筋肉の緊張を解く働きがあります。
○アセチルコリン
神経を興奮させる働きがあり、学習、記憶、レム睡眠や目覚めに関わっています。
○ノルアドレナリン
神経を興奮させ、不安や恐怖を引き起こします。また目覚め、集中力、記憶、積極性、痛みを感じなくさせる働きがあり、ストレスを受ける事で働きが強くなります。
女性がかかるがんの中で患者数の多い乳がん。若い人に増えてきている子宮がん。どちらも早期発見で確実な治療が可能なため、若い頃からのがん検診が勧められています。
罹患率が増加している乳がん。年齢別にみると、30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎えます。
大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に並んでいます。乳腺は全部で15〜20個ほどありますが、それぞれ、小葉という乳汁を分泌する器官に分かれ、小葉は乳管でつながれています。
乳がんはこの乳管から発生するものが約90%、小葉から発生するものが5〜10%を占めています。がんの中では比較的、生存率が高いとされています。
近年、発生と増殖には女性ホルモンのエストロゲンが深く関係していることが分かってきました。経口避妊薬や閉経後のホルモン補充療法によっても乳がんのリスクが高くなることも分かってきました。
また、リスク要因として次のような項目が挙げられています。
○初経年齢が早い
○閉経年齢が遅い
○出産歴がない
○初産年齢が遅い
○授乳歴がない
その他にも、飲酒習慣でリスクが高くなること、運動に予防効果があるとも言われています。
症状には、乳房のしこりや乳房にえくぼなどの皮膚の変化、乳房の近くにあるリンパ節のはれなどがみられます。これらは自分で気づくこともできるので、入浴時などに時々、チェックしてみると良いでしょう。乳がんのみの治療は手術が基本になります。早期発見できれば、手術によって完全にがんを取り除くことが可能です。
子宮がんは主に「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類があります。それぞれ発生する場所が異なり、構造、原因、病状の進み方なども大きく異なります。
西洋梨を上下逆さまにした形に例えられる子宮ですが、細長くなった下方部分が頸部で、膣の方から見ると子宮の内膜に続く「外子宮口」があります。
「子宮頸がん」はこの外子宮口付近に発生することが多く、婦人科検診で検査することが可能なため、早期発見が容易にできるがんです。初期の段階では全く症状は出ませんが、がんが進行すると、月経でない時の出血や性交時の出血や普段と違うおりものが増えることもあります。
子宮頸がんのリスク要因にはウイルスの感染が考えられており、初交の低年齢、多産などが報告されています。20代後半にかかる人も多く、若年層で増加傾向にあります。
子宮体がん」は子宮内膜がんとも呼ばれるように、胎児を育てる子宮の内側にある子宮内膜に発生するがんです。40歳代後半から患者数が増加しますが近年は年齢に関係なく増加しています。
リスク要因としては次のような項目が挙げられています。
○閉経年齢が遅い
○出産歴がない
○肥満
○乳がんのホルモン療法に用いられる薬剤の影響
子宮頸がんと同じように初期症状はほとんどありませんが、月経とは無関係の出血、おりもの、排尿痛または排尿困難、性交時痛などの症状があれば医師に相談しましょう。
女性のがんを早期発見するために最も有用な方法はがん検診を受けることです。乳がんなら40歳以上、子宮がんは30歳の頃、できれば20歳代から2年に1回のペースで受けておくと良いでしょう。
普通、「子宮がん検診」というと子宮頸がんの検診を指すことが多いため、子宮体がんの検診を受ける場合は確認をしておきましょう。
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