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健康の輪デジタル新聞

2005年4月号

[特集]たったひとつから大繁殖し、高熱、食中毒などを引き起こす「ウィルス」

普通、食中毒というと、細菌が繁殖した飲食物を食べることで起こるが、ノロウイルス食中毒のように、人の体の中に入ってから増殖をするのが、ウイルスだ。

 

細菌とは違う、半生物のウイルス

ウィルスは口、花、傷口などから体内へ侵入する。

病気や食中毒を引き起こすことで知られる細菌と、インフルエンザやSARSなどの病原になるウイルス。2つの大きな違いは、増殖の仕方。細菌はすべての遺伝情報を持った細胞そのものだが、ウイルスは部分的な遺伝情報しか持たず、自ら増殖することはできない。

種類によっても異なるが、せきやくしゃみ、性交や傷口からウイルスは体内へ侵入。胎盤を通して胎児へ感染することもある。また、かぜなどのウイルスは、感染者が使った物から間接的に感染する場合もある。

人間の体内へ侵入したウイルスは、細胞に入り込んで、細胞にある遺伝子や栄養を利用し、細胞を壊しながら驚くほどの早さで増殖していく。増殖する場所は、それぞれ決まっており、例えば、インフルエンザウイルスなら上気道、おたふく風邪やはしかは血液に乗って全身をまわりながら、各場所で増殖し、感染後の症状として腫れや発疹として出てくる。

ウィルスから引き起こる病気

◎インフルエンザ 
かぜに比べて症状が重く、高熱が出る。毎年、型の違うウイルスが流行するため、ワクチンは、厚生労働省の調査の元、予測して作られている。
インフルエンザ対策としては、今のところ、予測されたワクチンの予防接種を受けることが効果的とされている。

◎肝炎
A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎などがあり、それぞれのウイルスに感染により、肝臓の細胞が壊れて、機能が低下する。A型はウイルスに汚染された飲食物から感染し、食中毒の症状を起こすが、完治する。B型とC型は血液を介して感染し、ウイルスを保持すると「キャリア」と呼ばれ、さらに、重症な肝臓の病気に進行することもある。

◎おたふく風邪 
流行性耳下腺炎とも言う。ムンプスウイルスの感染により、耳の下が腫れ、発熱もしやすい病気。感染者からの唾液、くしゃみ、せきなどから感染。ウイルスが体内に侵入しても発病しない人もいる。

◎帯状疱疹 
子どもの頃にかかったことのある「水ぼうそう」のウイルスが体内に潜み、体力が落ちた時など、何かのきっかけで発症する。ウイルスが神経を伝わって現れるため、痛みを伴う。

◎ノロウイルスによる食中毒 
一昨年、増加し始めた感染症。ほとんどが経口感染で、主に、生かきなどの二枚貝が原因とされている。汚染されていた貝類を生または十分に加熱調理せずに食べた場合や、食品や料理を作る人が感染していて、その人を介した場合などの感染が考えられる。感染後、1日〜2日してから吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が1〜2日続く。

ウイルス撃退法

もともと、人間は「免疫力」という病気と戦う力を持っているため、ウイルスが体内に侵入すると、免疫が戦ってくれる。ウイルスに感染すると出てくる高熱は、免疫が戦っている証拠。増殖力が強いほど、高熱が出る。

また、一旦、ウイルスと戦うと、その型の撃退法(抗体)を覚えるため、次に同じ型のウイルスが侵入した時、簡単に撃退することができる 。感染症を予防するための「予防接種」は、人為的に抗体を作る方法なのだ。

増殖を抑える薬が開発されつつあるが、細菌と違い、抗生物質は効かないため、免疫力をつけたり、予防接種を行うことが、ウイルスの撃退法となる。また、熱に比較的弱いため、鳥インフルエンザやノロウイルス食中毒などの予防のために、ウイルスの疑いがある鶏肉や貝類は十分に加熱しなければならない。

ウイルスは食品から人へ、または人や動物から人へのルートがあり、特に、高齢者と子どもは感染しやすいので、注意したい。食品の十分な加熱、手洗い、うがいをして、感染源には触れないようにしよう。

ウィルスの構造(図解)

[この病をマークせよ!]ウィルスの怖さ

細菌や原生動物、あるいは菌類といった微生物は、地球のあらゆるところに存在しています。そればかりか、人の体表や体内にも住み着いており、人が一人で養っている微生物の数は、地球上の人間の数よりも多いと言われている程です。

それらの微生物のほとんどは、病気を引き起こすことはありません。それどころか消化を助けたり、死んだ皮膚細胞を食べたりして、私達の役に立っています。その一方で病気を起こす微生物も数多く存在します。

 

ウイルスと細菌

細菌類は、二分裂といって一つの細胞が二つに分かれる形で子孫をつくります。人の体をつくっている一つ一つの細胞も基本的には同じ方法で分裂していきます。このような増殖は、遺伝子だけを持っているのではなく、遺伝子をコピーするための酵素や体を形づくるための酵素、材料となるたんぱく質なども持っていることが必要です。人の細胞も細菌も同じメカニズムで増殖しているのです。

図1 細胞分裂の模式図
(ウィルスは基本的に生きた細胞の中でしか生きられない!)

しかしウイルスは、生物の最小単位である細胞すら持っていません。ウイルスは、どうやって増えるのでしょうか。ウイルスは、徹底的に他の生物の生きた細胞を利用することで増えていきます。ウイルスは、まず他生物の細胞の中に入り込みます。そして、その細胞の中の酵素やたんぱく質を勝手に使い、自分の遺伝子のコピーや体をつくるのに必要な成分をどんどんつくり、一つの細胞の中から数限りないウイルスを誕生させます(図1)。

ウイルスは、様々な形をしています。インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、エボラウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ロタウイルスなど、それぞれ形が異なっています。

ウイルスは、細菌やカビに比べて外部環境に弱いと言われます。風邪などにかかった時に体温が上昇するのは、ウイルスが熱に弱いという弱点をついて、感染力を弱めるための自然の防御反応であると考えられます。熱が上がった時に、解熱剤を使うのは考えものです。また、ウイルスの多くは酸性に弱く、胃酸で撃退されてしまいます。

ウイルスは、簡単に変異する

人体のほとんどの細胞は、常に分裂し、新しい細胞をつくっていますが、この時、遺伝子(DNA)もコピーして渡されていきます。コピーはミスなく、完全に行わなければなりません。人の細胞には、そのようなミスを防ぐための仕組みがあって、日々入れ替わる細胞たちが、今までと同じように働いています。

一方ウイルスは、一つの細胞に進入すると、数時間から数十時間のうちに数千から数万の子孫のウイルスをつくり出します。ウイルスは、人と違って正確に遺伝子(DNA)のコピーを取ることが、それほど重要ではありません。

人の細胞のようにミスコピーを防いだり、ミスした時にそれを修復するような仕組みは存在しません。時には、ミスが重なり、正常なものとはかなり異なった遺伝子を持ったウイルスが出来ることもあります。これが突然変異です。

人から人へ、あるいは動物から人へと感染を繰り返すたびに変異が重なり、まったく性質の違う子孫が生まれ、これまで人が出会ったことのない新しい病気の発生原因となります。

最近話題のウイルス

(1)SARSウイルス(重症急性呼吸器症候群ウイルス

(図解)
図2 感染のメカニズム(SARSウイルス)

2002年に突如としてあらわれ、世界を恐怖に陥れたウイルスです。潜伏期間は8〜10日。38度以上の高熱、咳、肺炎が主な症状ですが、患者によって肺炎は深刻で、治療の効果は少なく、死に至ることも少なくありません。

風邪や下痢を起こすことで知られるコロナウイルスが変異したものです。血液検査は開発されており、診断は数日で可能ですが、治療薬、ワクチンは現在開発中で数年を要すると予想されています(図2)。

(2)HIV(ヒト免疫不全ウイルス)

免疫を担うリンパ球の中でもヘルパーTリンパ球という細胞にのみ接触するウイルスで、CD4(受容体)にくっつくのが特徴です。ヘルパーT細胞は数が少ない為に、症状がないのが特徴的です。ウイルスは徐々に増え続け、ヘルパーT細胞は徐々に減り続けていきます。

厄介なことに、このヘルパーT細胞は、適応免疫の働きを制御するため、徐々に感染した人の体内では、免疫が正常に働かなくなります。免疫の働きが落ちると、カビやヘルペスウイルス、細菌、結核菌などが突然増えだし、激しい症状を起こすようになります。これがAIDS(後天性免疫不全症候群)です。

(3)インフルエンザウイルス

毎年、冬になると流行するウイルスで、ひどい風邪症状を引き起こします。感染力がとても強いウイルスで、他のウイルスと大きく異なる特徴があります。新種のウイルスが発生しやすいと言われます。多くのウイルスは、遺伝子を1本だけ持っていますが、このウイルスは7〜8本も持っています。

一つのウイルスが、一つの細胞に感染した場合はいいのですが、異なる種類のインフルエンザウイルスが、一つの細胞に感染した場合が問題です。外に出て行く時に、あわてて違うウイルスの遺伝子を持って出てしまうこともありますが、そのような場合でも、ウイルスは必要な遺伝子は全部持っている訳ですから、問題無く次の感染を起こすことが出来ます。これが新種のウイルスになります。

元々インフルエンザは、鳥のウイルスです。渡り鳥がウイルスを運んで来て、そのウイルスが家畜に感染する。同時に人が持っているウイルスが、同じ家畜に感染するということが起きた場合に起こると考えられています。中国南部や東南アジアのアヒルや豚と共同生活をする生活様式が、一番危険が高いと考えられます(図3)。


図3 インフルエンザウイルスの感染

[気になる実になる健康講座]がんの早期発見に腫瘍マーカー

血液だけで簡単にがんをスクリーニング(選別)できる腫瘍マーカー。これだけの検査でがんを決定できませんが、がん細胞の種類やできた場所を調べることができます。

 

がんの診断、治療の目的に使われる

健康診断や人間ドックでは、「腫瘍マーカー」を調べることがあります。腫瘍マーカーとは、がん細胞がつくる特有な物質、または、体内の正常細胞が、がん細胞と反応してつくる物質のうち、血液や尿や便などで検査することができるものです。

腫瘍マーカーの検査は次のような目的で使われます。

  • がんになりやすい人(ハイリスクグループ)のスクリーニング
  • ハイリスクグループの追跡
  • がんの疑いの診断の補助
  • がんの種類(鑑別)診断
  • がんの進行度診断
  • 予後の推定(がんができている人の将来のゆくえ)
  • がんの治療効果と経過の観察*再発の発見

そのうち、健康診断では、スクリーニング(選別)として使われます。ただし、腫瘍マーカー検査では、がんがなくても陽性になる場合やがんがあっても陰性になる場合もあるので、決定的なものではありません。

腫瘍マーカーの種類

体に負担をかけず、多くは血液検査だけの簡便な検査ですが、腫瘍マーカーにはいくつか種類があり、それぞれ特徴を持っています。腫瘍マーカーの代表的なものは、CEA(がん胎児性抗原)とAFP(α―フェトプロテイン)があり、血液や尿で調べられるものは約30あります。ほとんどは、複数の臓器でつくられるため、ある腫瘍マーカーの値が高く出たとしても、どこに病気があるか決定はできません。

しかし、中には、体内の特別な場所だけにつくられる腫瘍マーカーもあるので、どこの臓器に病気があるのか分かる場合もあります。PSA(前立腺と前立腺がんの関連抗原)やhCG(胎盤・胚細胞と絨毛性ゴナドトロピン)、AFP(肝細胞・胚細胞とα―胎児蛋白)などです。

また、腫瘍マーカーは、慢性肝炎、慢性気管支炎、結核など、がん以外の病気でも少量がつくられます。そのため、腫瘍マーカーだけでがんを判断することはせず、画像診断と合わせた補助的な検査として利用されています。

AFP 胎児の時期に肝細胞でつくられる酸性糖蛋白。主に、肝細胞がんなどで増加します。早期がんで陽性になる確率は50%。慢性ウイルス性肝炎にかかった人は、肝がんになりやすいので、超音波検査と合わせて検査を行うと良い。
CEA 大腸がんの中にある糖蛋白。大腸、胃、甲状腺、胆道、子宮などのがんの診断に利用されます。しかし、早期がんの場合には陽性になる確率が低いため、他の検査と組み合わせる必要があります。
CA19-9 小さな膵がんでは高い確率で陽性になる、感度の高い腫瘍マーカー。消化器系、特に、膵がん、胆のうがん、胆管がんに使われます。
CA125 卵巣がんによってつくられる糖蛋白。卵巣がん以外に、子宮内膜症でも高い数値を示すことがあります。
PSA 前立腺がんの早期発見に有効な検査。前立腺肥大症でも、軽度の上昇をみせます。60歳以上の男性に前立腺がんが多くみられるので、一度、検査をすると良い。

健康診断や人間ドックでよく利用される腫瘍マーカー

 
イスラエル地図

[トピックス]3大宗教の聖地「エルサレム」

古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、異文化の魅力にあふれた国、イスラエルについて、あまり知られていない側面も含め、ご紹介します。

 

聖書の舞台となり、そしてユダヤ教・イスラム教・キリスト教の3大宗教の聖地として知られる『エルサレム』。イスラエルの首都であるこの街の名には「平和の町」という意味があります。テルアビブ・ベングリオン国際空港から南西約50qに位置し、中東を語るときには必ずと言って良い程、いつの時代にもその名前が出てきます。周辺の変化に影響されることなく、昔と変わらぬ雰囲気を色濃く残し、時が止まったような世界を感じさせてくれます。


旧市街全景

エルサレムは城壁内側の旧市街と、後に城壁外周辺に出来た新市街に分けられます。また城壁には8つの門があり、そのひとつ「糞門」から城内に入ると、全長約60mの『嘆きの壁』が広がります。かつて、ユダヤ教のシンボルとなるソロモン王が建てた神殿があった場所なのですが、1900年前にバビロニアやローマに破壊され、神殿域の西側にあった壁がわずかに残ったものです。壁の正面左側が男性用、右側が女性用と礼拝場所が分けられており、黒い帽子に黒い衣装で祈りの言葉を唱えながら体を揺らし、時に頭を壁にぶつけたり、口づけをします。

ユダヤ教徒が在りし日の栄光を偲び、一心に神に祈りを捧げるこの壁こそが、ユダヤ教の最大の聖地と言えるでしょう。

『嘆きの壁』から北西に約500m、イエス・キリストが十字架にかけられたゴルゴダの丘には、キリスト教最大の聖地『聖墳墓教会』が建てられています。そして、イエスが自ら十字架を背負い、ゴルゴダの丘まで歩いた道は、「悲しみの道(ヴィア・ドロローサ)」と呼ばれています。現在も巡礼者たちは、イエスと同じように十字架を背負い、道沿いに点在するイエスゆかりの14の場所(ステーション)で、祈りを捧げながら歩み偲んでいます。


聖墳墓教会入口

そして、かつてはソロモン王の神殿があったところで、『嘆きの壁』の上方には、黄金のモスク(岩のドーム)が建てられています。この目映いばかりの黄金のドームと、美しい青色のタイルによるモザイク模様は、エルサレム・ストーンと呼ばれる石灰岩で覆われた白い建物の街並みにあって、ひときわ異彩を放っています。このモスクは、7世紀の終わりにかけて建てられ、イスラム教の預言者ムハンマド(マホメット)が、このドーム内にある「モリヤの岩」から昇天したと言われています。イスラム教徒にとっては、ムハンマドが生まれたメッカ、メディナと並ぶ聖地として崇められているのです。


嘆きの壁

世界でもめずらしい複数の宗教が聖地とするエルサレム。それぞれの宗教が「わが聖地」と主張することから、幾度となく争いが行われてきました。しかし、この3大宗教は、元をたどれば唯一の、そして天地創造の神を信じる宗教なのです。信じる神が同じならば、聖地が重なってしまうのは、いわば当然の成り行きとも言えるのかもしれません。

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