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健康の輪デジタル新聞

2005年2月号

[特集]増え続ける肺がんの要因を探る─肺がんと喫煙の関係

世界的に増加傾向にある『肺がん』。日本でも、1993年からは胃がんに代わって、男性のがん死亡率の中でも第1位となっている(女性は第2位)。
原因は全て解明されてはいないが、やはり、喫煙が大きな要因となっているようだ。

喫煙が、肺がんの大きな要因となっているようだ─腺がん、大細胞がん、小細胞がん、扁平上皮がん

なかなか発見されにくい『肺がん』

気管、気管支、肺胞の細胞が正常機能を失い、無秩序に増えて発生する「肺がん」。女性よりも男性に多く、今なお、増加し続けている。2015年には日本で肺がんの1年間の新患者数が男性で11万人、女性で3万7千人になるとも予想されている。そのためにも、早期に発見できる場合が多い「肺がん検診」はとても大切だ。

症状は種類によって少しずつ変わってくるが、一般的に、風邪などの症状と区別がつかないことが多い。具体的には、なかなか治りにくい咳や胸痛、呼吸時のゼーゼー音(喘鳴)、息切れ、血痰、声がれ、顔や首のむくみなどが挙げられる。
扁平上皮がんや小細胞がんのような肺門型の肺がんは、比較的、早期に咳、痰、血痰が出やすいが、他は初期の自覚症状がほとんどないため、 気になる症状があったら、医療機関で受診をした方が良い。

治療法は主に、外科療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3種類。がんのある場所、進行度、その他の病歴などによって選択される。

[肺がんの種類]小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、腺扁平上皮がん

やはり、関係していた『喫煙』

肺がんの大きな要因とされている「喫煙」。特に、小細胞がん、扁平上皮がんは深く関わっていると言われている。

一般には、『※重喫煙者は肺がんの高危険群(リスクの高い人)』と言われている。また、非喫煙者と比べ、毎日喫煙する人は約4.5倍、20歳以下に喫煙を始めた人は、約6倍のリスクを伴う。

これらから、たばこを多く吸う人、毎日喫煙する人、喫煙の開始年齢が若い人ほど、肺がんになるリスクが高くなると言える。

ただし、肺がんの10〜20%は喫煙と関係がないと言われている。大気汚染や他の環境要因、放射性物質、アスベストなどの関係性も指摘されているが、喫煙は、本人だけでなく、受動喫煙といって、周囲の人にも影響を及ぼすことも考えなければならない。

喫煙開始年齢別にみた肺がん、全がん、全死亡標準化死亡率

喫煙開始年齢 観察人数 肺がん 全がん 全死亡
〜19 128,322 137.6 609.0 2,082.6
20〜24 768,329 114.0 571.5 1,974.3
25〜29 115,902 98.9 571.5 2,005.4
30〜34 38,146 57.1 494.8 1,752.7
35〜 28,226 32.9 390.9 1,878.6
非喫煙 310,506 24.1 347.0 1,541.1

禁煙後の年数別にみた肺がん、全がん、全死亡標準化死亡率

禁煙後の年数 観察人数 肺がん 全がん 全死亡
0〜4 23,305 48.9 514.7 2,024.9
5〜9 13,851 38.3 504.3 1,807.9
10〜 17,199 33.3 330.2 1,407.4
非喫煙 310,506 24.1 347.0 1,541.1

※男性S41〜51/人口10万人対(がん研究振興財団『がんの統計'03』より)

※重喫煙者=1日の本数×喫煙年数=喫煙指数が600以上の人
参考資料:国立がんセンター

[この病をマークせよ!]肺がんの治療

定期的な健診を心がけましょう

肺がんは、がん細胞のタイプによって「小細胞がん」「非小細胞がん(腺がん・扁平上皮がん・大細胞がん)」の4種類に分けられます。 これらは、その種類によって、できやすい場所があり、治療には、進行状態、種類によって、それぞれに最適な処置が施されます。
がんの初期では自覚症状がないことがほとんどです。早期発見のため、定期的な検診を心がけましょう。

 

さまざまなタイプのがん

◆小細胞がん 
悪性度が高く、進行が速いがんです。

◆腺がん
がん細胞が管のような形(腺管)をしていて、粘液を分泌する性質があり、最近増える傾向にあります。

◆扁平上皮がん 
がん細胞が皮膚の組織のように、扁平な形をしています。

◆大細胞がん  
肺がん全体の5〜10%程度ですが、進行が速いのが特徴です。

肺の構造と肺がん(図解)

治療は手術・放射線・薬などを組み合わせて行う

外科手術と放射線療法は、がんの病巣が、小さい場合に行われる局所的な治療で、転移の有無によっても判断されます。転移がわずかな場合には手術が行われ、転移があって手術ができない場合には、放射線療法や化学療法が行われます。

レーザー治療
がん細胞に集まりやすく、特定の光線に反応する性質のある物質を、患者さんに注射します。2〜3日後に、気管支内に挿入した内視鏡の先端から、レーザーを照射して、その物質に化学反応を起こさせ、がん細胞を破壊します。肺門部にできた早期がんに適用されます。

化学療法と放射線療法の効果
小細胞がんの場合、手術ができる早期の段階で発見されるケースはわずかです。進行度がU期からV期の場合、化学療法と放射線療法が行われますが、以前に比べ、かなり治療効果が進歩しています。この段階では、30〜40%が治癒するようになったのです。 

抗がん剤の進歩
1990年代に、VNL(ビノレルビン)、PAC(パクリタキセル)、DOC(ドセタキセル)、GEM(ゲムシタビン)、CPT‐11(イリノテカン)などの新規抗がん剤が導入され、従来の治療法と比較して生存期間の延長が得られたものの、治療成績は不良であるのが現状です。

支持療法
最近では、抗がん剤の副作用の症状を軽くする治療法が研究され、カロチノイドの投与もその一つとして効果をあげています。

 

[気になる実になる健康講座]検査数値から分かる私の健康

健康診断は、自分の健康を知るためにとても良い方法です。病気の原因となる危険因子を早期発見でき、自覚症状が出ないうちに生活習慣を見直して、病気を未然に防ぐことができます。

 

検査の意味

自分の健康は自分で守るもの。自分のため、家族のためにも、検査結果は素直に受け止め、異常があった場合、生活習慣の改善に役立てることができます。異常がなかった場合でも、現在の健康を維持できるようにしましょう。
「健康で生活すること」は私たちの願いです。

より良い検査の受け方

検査の基準値は、一般的に健康であると言われている人達の平均値で、結果には個人差があります。細かい数値に神経質になるより、健康診断は定期的に受け、継続することが大切。自分の正常値を知っておくと、異常値があれば、すぐに発見することができます。そのためにも、年に1回は健康診断を受け、検査結果は記録・保管しておくことが望ましいでしょう。

また、精密検査を受けたり、通院中であっても、健康診断を受けると、より効果的に自分の健康を知ることができます。毎回、同じ検診機関で検査を受け、かかりつけ医を持ち、相談できる医療機関があると安心です。

検査項目 基準値 基準値でない場合に
考えられる病気
肥満度 (BMI) 20.0〜24.0 肥満、糖尿病、高脂血症
体脂肪率 20.0〜27.0
血圧 最高140mmHg以下
最低90mmHg以下
動脈硬化、脳出血、 脳梗塞など
総コレステロール 150〜220mg/dl (高いと)動脈硬化、 糖尿病
中性脂肪 35〜150mg/dl 動脈硬化
LDLコレステロール
(悪玉コレステロール)
70〜139mg/dl 動脈硬化
HDLコレステロール
(善玉コレステロール)
40mg/d・以上 (低いと) 動脈硬化、
心疾患の危険
AST(GOT) 8〜40IU/l 肝炎、脂肪肝、 アルコール性肝炎、
肝臓がん、心筋梗塞
ALT(GPT) 5〜35IU/l
GGT (γ-GTP) 1〜80IU/l アルコールによる 肝機能障害
血 糖 70〜110mg/dl
(空腹時)
糖尿病 尿
♂2.9〜7.2mg/dl
♀2.3〜5.4mg/dl
痛風、腎機能障害、 高血圧
尿 糖 陰性(−) 糖尿病、肝機能障害

どんな成分?

●肥満度(BMI)

肥満の判定をします。

身長あたりの体重指数(BMI:body mass index)=体重(kg)/{身長(m)×身長(m)}

肥満は体に必要以上の脂肪がついた状態をいい、高血圧や糖尿病等の生活習慣病の温床になります。BMI値が高い場合、食生活の改善と運動を中心とした減量を実行してみましょう。

BMI   判定
〜18.4 低体重
18.5〜24.9 普通体重
25.0〜29.9 肥満(1度)
30.0〜34.9 肥満(2度)
35.0〜39.9 肥満(3度)
40.0〜 肥満(4度)

●体脂肪率

体重に占める脂肪の割合で、体脂肪の状態を知ることができます。見た目がスリムでも、実は体脂肪率が高かったり、太って見える人が適正であると判断されることもあります。

女性   男性
20%未満 低い 15%未満
20〜25%未満 適正 15〜20%未満
25〜30%未満 やや高い 20〜25%未満
30%以上 高い 25%以上

●血圧

運動や精神面などの影響を受けやすいので、1回の血圧測定では判定しにくいこともあります。定期的に血圧をチェックすることをお勧めします。「高血圧」と判断された場合、食生活や運動等の日常生活の改善を行いましょう。

    最高血圧   最低血圧
正常圧 至適血圧 〜119 および 〜79
正常血圧 120〜129 および 80〜84
正常高血圧 130〜139 および 85〜89
高血圧 軽 症 140〜159 または 90〜99
中等症 160〜179 または 100〜109
重 症 180〜 または 110〜

●総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール

これらを調べる検査を血中脂質検査といい、高脂血症の診断をします。コレステロールには動脈の壁にたまって動脈硬化を起こす悪玉(LDLコレステロール)と、その悪玉を運び去る善玉(HDLコレステロール)があります。総コレステロールはおよそ、両方を合わせたものと考えることができます。また、食事で摂ったエネルギー源が運動不足などで余ると、脂肪として体内に蓄積されます。この脂肪のことを中性脂肪といいます。

●尿酸

酸素、水素、炭素、窒素の分子からできるプリン体と呼ばれる物質のひとつです。尿酸は誰の体の中にもありますが、何らかの原因で血液中の尿酸の濃度が上がると、溶けきれなくなり、体に蓄積されます。

●血糖、尿糖

血糖は血液中のブドウ糖です。糖尿病になるとインスリンが不足して高くなります。血糖値がある値を超えると、尿糖は陽性(+)になります。これらは、食事の時間や1回の検査では糖尿病とは診断できません。

●GGT(γ−GTP)

肝細胞膜に存在します。アルコールに敏感に反応し、脂肪肝、胆道疾患があると、増加します。

●AST(GOT)、ALT(GPT)

肝臓、心臓、筋肉などに多く含まれる酵素です。肝臓の細胞などが病変により破壊されると、これらの酵素が血中に増加します。ASTは肝臓と心臓の病気の指標として、ALTは肝臓や胆道の病気の指標として使われ、両値の比較で、おおまかな肝疾患の程度を知ることができます。

 

 
イスラエル地図

[トピックス]イスラエルの国土・風土

古の聖書の時代から、歴史に名を刻むイスラエル。地中海の南東沿岸域に位置する小さな国です。
ユダヤの人々は、2000年に及ぶ離散、そして戦いの連続を、民族の固い絆で乗り越え、父祖の地イスラエルへの帰還を果たし、悲願であった建国を実現しました。
古代と現代が調和した、異文化の魅力にあふれた国、イスラエルについて、あまり知られていない側面も含め、ご紹介します。

 

紀元70年に、ユダヤの人々がローマ帝国のティトス将軍によって、国を追われて以来、幾世紀にもわたる流浪に耐え、帰還を果たすことを夢見た「約束の地」がイスラエル。そして1948年、ユダヤ民族は再び結集し、理想の国を築きあげました。

イスラエルは、半乾燥の風土を持つ、日本の四国ほどの面積の細長い帯状の小さな国です。西は地中海に面し、北はレバノン、シリア、東はヨルダン、南はエジプトと国境を接しています。気候は、ハイファやテルアビブなどが位置する地中海側と、エルサレムがある中部は、ギリシャ、イタリアなどと同様の地中海性気候となり、死海周辺の東部は砂漠気候となります。

11月から5月までが雨季で、これ以外の季節は乾季となり、雨はほとんど降りません。湿潤気候と乾燥気候の境目に位置しており、太陽の恵み豊かな地です。

狭い国土の中には、手つかずの雄大な自然が広がり、地理上の特色で、山脈や高原、肥沃な畑や、切り立つ崖、砂漠、土漠といった荒涼とした土地もあり、景観は変化に富んでいます。

国内の至る所に宗教上の歴史的建造物、考古学上の遺跡が数多く残され、欧米をはじめ、世界中から多くの人々が観光に訪れます。

ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地として名高いエルサレムはイスラエルの首都で、政治、文化の中心です。


エルサレム市街

アジア、ヨーロッパ、アフリカの3大陸の接点に位置し、西洋と東洋を結ぶ掛け橋である、この独特な国には、約600万の人々が住んでいます (8割がユダヤ人で、残りのほとんどはアラブ人)。

現在、日本から9200q離れたイスラエルへの直行便はなく、乗り継ぎでしか行くことはできません。決して近い場所ではありませんが、悲劇の民ユダヤ民族の魂の息吹、その上に築かれた歴史の重みを感じさせてくれる魅惑の地です。

普通の観光では味わえない感動に巡り会えるはずです。あなたも一度足を運んでみませんか。


岩山がどこまでも続くイスラエルの大地

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