日本人の死亡原因第4位の肺炎。そのうち高齢者は約9割を占める。免疫力の低下、口の中の酸性度の変化、誤嚥などの理由があるが、肺炎の症状を見落とさないことが大切だ。
どちらも、病原体が感染して炎症が起きた状態の病気だが、風邪は鼻やのどなどの上気道や気管支に起きたもの、肺炎は肺胞やその周囲に起きた状態をいう。
風邪はほとんどの場合、数日で治る。しかし肺炎は、適切な治療を受ければ治るが、対応が遅れたり、炎症が広範囲に及ぶと、命に関わることもある。
もしも、「風邪の症状が長引く」「高熱が続く」「膿のような痰が出る」「呼吸が苦しい」などの症状が出たら、早めに受診するのが良い。
高齢者が肺炎を起こしやすい理由にはいくつかある。まず、高齢になると免疫力が低下し、肺炎を起こす細菌が増えやすくなることが挙げられる。
肺炎を起こす細菌には、肺炎球菌、大腸菌などがあるが、高齢になると、口の中の酸性度が変化したり、唾液の分泌量が減るため、細菌が口の中に増えてしまう。
もう一つ、高齢になって、噛む力や飲み込む力が弱くなったり、神経や筋肉などの働きが低下するための誤嚥で起こる場合も多くみられる。これは、口の中の細菌が食べ物や唾液と一緒に、誤って気管に入り、細菌が気管から肺に入って炎症を起こすためだ。
一般的には目立った症状が出る肺炎だが、高齢者の場合は高熱や激しい咳などの症状が現れにくい。気づかずに重症化することもある。食欲がない、脈拍が速いなどの症状が現れたら、早めに受診するようにしたい。
日頃から誤嚥を防ぐ工夫をし、口の中を清潔に保つよう、食後や就寝前の歯磨きや、うがいが肺炎の予防になる。また、高齢者に限らず、慢性の病気がある人、呼吸器系に疾患のある人は、肺炎球菌のワクチン接種を受けるのも効果がある。
肺は、呼吸により空気中の酸素を血液に取り込み、血液中の老廃物である二酸化炭素を呼気中に排出する働きを持つ大切な臓器です。肺の病気として主に挙げられるものには、肺炎、肺結核、気管支喘息、肺がんなどがあり、単なる風邪と思っても、症状が長引く場合は、肺の病気である可能性もあるので、注意が必要です。
熱、咳、痰などの症状は、一般の風邪にも見られるので、肺炎の兆候を見逃さないようにすることが必要です。38度以上の高熱が長く続き、1週間以上も下がらずハーハーと苦しそうな息をするときは、肺炎の可能性があります。しかし、お年寄りの場合は、熱が出ないことがあるので特に注意が必要です。また、膿のような痰が出るときも、肺炎の可能性があります。血の混じった痰は、特に肺炎球菌などの細菌による肺炎のときに見られます。
肺全体に炎症が起きていると、肺の痛みが現れたり、呼吸が苦しくなることがあります。血液検査では、炎症が重い程、白血球やCRPと呼ばれる物質が、血液中に多くなります。基本的には、入院治療が必要ですが、保温と安静を保って、体力をつけた(免疫力を上げる)上で、細菌の種類によっては、抗菌薬が投与されます。
肺炎は、風邪をこじらせて起こすことが多いので、予防には、まず風邪をひかないように注意することが大切です。特にインフルエンザの流行時には、注意が必要です。
お年寄りや糖尿病、慢性の呼吸器疾患、腎障害のある人、免疫力が低下している(体力が低下している)人などは、風邪の流行時は、肺炎の予防が重要となります。多糖体を多く含む食品によって、免疫力をつけておくことが一番大切かもしれません。
気管支喘息は、気管支が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。
喘息の発作が起きると、「ゼーゼー、ヒューヒュー」と苦しそうに息をします。喘息発作は、風邪や肺炎などの感染症に伴って起こることが多いのです。お年寄りでは、命に関わる場合もあり、夜中に突然発作が起きて死亡するというケースも報告されています。
まず第一に、気管支に慢性的な炎症が見られることです。第二には、気管支が非常に過敏になっており、普通の人では何でもないような匂いや冷たい空気などのちょっとした刺激が加わっただけで、過敏に反応します。さらには、何らかの刺激がきっかけで、気管支が急に収縮するため、空気の通る量が少なくなって、息苦しくなります。
これら三つの特徴が、お互いに関連し合って、気管支喘息という病気を引き起こしています。
薬を用いるのも必要ですが、できるだけ発作を起こさないよう、日常生活で注意することが大切です。気管支喘息は、気管の慢性的な炎症ではなく、抗原や精神的ストレスを体外に排泄しようとする治癒反応によって起こされる一過性の急性アレルギーと考えられます。
環境汚染の場所から逃れる、過保護な生き方をやめる、鼻で呼吸するように心がける、運動や乾布摩擦で体を鍛えるといった予防対策も重要です。
健康的な生活に必要と言われている運動も、喘息に苦しむ人にとっては、問題を引き起こすばかりです。健康な人は、運動によって、副交感神経の緊張が低下し、交感神経が優位に働くので、気道は少し広がります。しかし、喘息を患っている人が急に運動すると、運動後に気道が収縮し狭くなってしまい、喘息の発作が起きてしまいます。これを運動誘発性喘息といいます。これは、運動することで息が荒くなり、口で呼吸するようになり、鼻で加湿されない空気を吸い込むことで、気管支が乾いて起こるとされています。今回は、運動誘発性喘息に対するカロチノイドの有効性の報告を例に挙げて、その予防効果を検証します。
喘息の子供の70%以上が、運動誘発性喘息を経験しています。そして、通院している喘息の子供達の98%が運動時に不快感を持っているとの報告もあります。この原因は、運動後に高いレベルで、気管支に炎症を起こす中間産物が現われるためです。酸化物が、気道の過敏状態を作る可能性があり、実際に喘息患者は運動によってフリーラジカル(活性酸素)が高い割合で生成されます。
運動誘発性喘息に対して、カロチノイドを各種含むドナリエラ藻体を投与する機会が得られ、その抗酸化効果が報告されました。
試験には38人の運動誘発性喘息患者が参加しました。検査として、安静時の肺呼吸、7分間の運動、8分間の休息時の肺呼吸が測定されました。カロチノイドは、βーカロチンとして、1日64rが摂取され、7日間毎日摂取されました。
対象としてプラセボ群(偽薬)が用いられ、比較検討されました。
この結果、カロチノイドを摂取した患者には、肺活量の減少抑制効果が確認され、抗酸化物質であるカロチノイドは、運動によって引き起こされる、喘息の症状を和らげる働きがあることがわかりました。