「特別用途食品を開発してほしい。」。田中美穂社長は研究開発室に指示を飛ばし、研究施設へ惜しみなく投資をした。それだけ田中社長の特別用途食品の開発にかける期待が大きかった。
関係スタッフで、まず何から特別用途食品の開発に手がけるか意見を出し合った。
最終的には、クロレラ、ドナリエラ・バーダウィルを応用した特別用途食品を開発し、世界に類のない健康食品企業の特色を出していくことに落ち着いた。
田中社長が目ざす特別用途食品は、平成3年9月に施行された栄養改善法で「販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用の特別用途に適する旨を表示しようとする者は、厚生大臣(現厚生労働大臣)の許可を受けなければならない。」と、規定された食品への挑戦だった。
食品には効能に類することは一切表示が許されていない現制度の中で、「どんな人に適しているか。」を表示できる唯一の例外的な食品である。
田中社長は、ただ黙ってこの特別用途食品の開発を見逃すはずがなかった。
健康食品企業にとって、食品に厚生省(現厚生労働省)許可マークや用途表示ができるからだ。
研究開発室が開発した特別用途食品の第1号は、ビフィズス菌を増やし、腸内の環境を健康に保つことを用途表示した「特定保健用食品」だ。
表示許可要件をクリアするのに大変な作業だった。
許可を受けようとする表示内容。健康の維持増進がはかられる理由。摂取量と摂取上の注意、当該食品または関与する成分についての保健の用途を医学・栄養学的に明らかにする─など膨大な資料づくり。また資料として提出する文献ごとに、学識経験者の評価書の添付などが義務づけられているからだ。
1つずつ資料づくりをし、申請した「特定保健用食品」は、平成10年11月、厚生大臣の許可を取得することができた。
開発にあたった若いスタッフは、大きな自信と弾みがつき、続いて「病者用食品」の開発を目ざした。
高血圧症、腎臓、心臓疾患の人のナトリウム、たんぱく質を低減させたことを用途表示した「病者用食品」で、平成11年6月厚生大臣の表示許可を取得した。
日健総本社は、特別用途食品の開発に意欲的で計画が目白押し。
平成12年9月、創業25周年を迎え、日健総本社は世界に向けて微細藻類応用の専門メーカーとしての地盤を大きく拡げつつある。