東海道新幹線の岐阜羽島駅前に、11階建てのビルがそびえたっている。
平成元年4月に完成した、日健総本社ビルだ。最上階に「微細藻類」を社章にデザインした緑色のステンドグラスが、大空にくっきり映えている。
本社ビルは、創業間もないころ、田中美穂社長がよく社員に語った「10年以内に7階建てのビルを建てる。」の夢が実現した「健康産業の殿堂」だ。
「この本社ビルは、組織の皆さんのものだ。私は使わせてもらっているだけだ。」
田中社長は、毎朝午前6時半に出社。11階から1階へ点検して歩くのが日課となっていた。
その本社ビルの11階は400人の収容能力を持つ国際大会議室。10階歴史資料館。9階研修室。8階宿泊施設。7・6階研究室。5階多目的ホール。4階NSKなど。3階学術・開発、企画部など。2階社長室、事業、海外事業部など。フロアには、恩師である故・永松昇氏の銅像が建っている。1階には、微細藻類のクロレラ、ドナリエラ、モノダス、ポルフィリディウム、フェオダクチラムが展示される世界唯一の微細藻類水族館「藻知(ものしり)館」がある。
社員や関係者は、このビルを「新藻殿」「健康情報の発信基地」と呼んでいる。
最新技術と設備を誇る微細藻類未来工場(3階建て、延べ4,115平方m)は、平成7年4月、岐阜県安八郡輪之内町に完成。
1階は、多糖体抽出、分離液抽出装置。2階は、クロレラ商品群、化粧品の全自動充填・包装ラインを完備。
3階はアルジェガーデン。太陽光をふんだんにとり入れる巨大なガラスドーム。流下循環式、長方形還流式、函型培養装置が設けられ、マイクロアルジェ(微細藻類)の培養が見学できる世界でも初めての設備。
日健総本社は、本社社屋、ドナリエラ・バーダウィル培養工場(イスラエル・ エイラット市)、クロレラ培養提携工場(台湾・台中市)、カプセル工場(静岡県芝川町)、製造工場(岐阜県輪之内町)、研究室の充実など、最大の設備と技術を誇る健康食品業界のリーダー的な存在となっている。
「私の代で永松構想は30%実現できると思う。私はレールを敷いて、方向と方針を決めるところまでである。あとは残った人たちで、永松構想の実現を引き継いで行ってもらう。」
田中社長の微細藻類事業は着実に伸展している。