平成11年8月、イスラエル日本親善商工協会から日健総本社に「イスラエル経済界に多大な貢献をされたので特別表彰をしたい。」と一通の表彰式出席の要請状が舞い込んできた。
日本企業では、初めての快挙だった。
「私に代わって表彰式に出席してくれ。」森伸夫副社長(当時)は、田中美穂社長の代理として表彰式に出席した。
イスラエル日本親善商工協会主催の表彰式は、9月7日イスラエル・テルアビブのダン・ホテルで行われた。
日本側から内田公三・経団連事務総長、藤原菊男・島津製作所会長、後藤又三・日商岩井相談役らそうそうたるメンバー16人が出席。
イスラエル側からイスラエル日本親善商工協会のロニーポーン・シュタイン会頭、E・ゴールド・シュミット国会財務委員会代表、アミール・ヤコヴ輸出研究所理事長、モシェ・ベンヤアコヴ駐日イスラエル大使ら政・財界人の関係者約250人が出席した。
表彰式の席上、ロニーポーン・シュタイン会頭から森副社長に「楯」と「表彰状」が手渡された。このあと、イスラエル通産省投資促進センターのマックス・リブナット副所長(元駐日イスラエル経済公使)が、イスラエル経済界に深くかかわっている日健総本社の現況を紹介した。
日健総本社は、イスラエル国立ワイツマン基礎科学研究所と提携したのが縁で、昭和62年、イスラエルの食品会社から資本参加の話が持ち上がった。
「日イ親善のかけ橋になれば」田中社長の決断で、イスラエル進出が決まった。
平成元年1月、エイラット市にイスラエルとの合併事業である ドナリエラ・バーダウィル培養工場のネイチャー・ベータ・テクノロジー(N.B.T.)社を設立した。
翌年1月には、日健総本社が全額出資の子会社となった。
田中社長は「この工場で上がった利益は、全て従業員の皆さんで待遇改善、 福利厚生、設備の充実に役立てて下さい。」といい、N.B.T.工場経営の一切を現地のイスラエルの人に任せる姿勢を貫いている。
このN.B.T.工場で培養されたドナリエラ・バーダウィルは、日本をはじめ世界各国に健康食品や化粧品などの分野に原料として輸出している。
最近N.B.T.工場では、ドナリエラ・バーダウィルの生産が需要に追いつけず、 従業員が自分たちの手で工場の拡張工事を行って、増産体制を整え、イスラエル経済を潤わせている。
また日健総本社は、イスラエル国立ワイツマン基礎科学研究所、 国立ハダサ病院などに研究助成金を贈って、ドナリエラ・バーダウィル応用の研究開発を支援し、多くの商品を開発している。
こうした一連のものをイスラエル側が高く評価し、特別表彰となったものだ。